日本共産党

2004年7月20日(火)「しんぶん赤旗」

介護保険と障害者支援費制度の統合

地方、医療団体から批判

“慎重期すべき”“国民に過度の負担”


表

 来年予定されている介護保険制度の見直しで厚生労働省は、制度が発足してわずか一年しかたっていない障害者支援費制度の統合を提案しています。これにたいし、両制度を実際に運営している地方団体などから反対や慎重な検討を求める声があがっています。

市町村長は「公費」要求

 全国市長会のアンケート(四月発表)では、統合に「反対」「時間をかけて慎重に検討すべき」と回答した市長が76・5%にのぼりました。一方、「賛成」は19・9%です。

 反対理由で多いのは、「障害者施策は公費で負担すべきで、保険制度にはなじまない」です。

 全国市長会と全国町村会は六月、「国は、一方的に統合を進めることなく、介護保険の保険者である市町村長の意見を十分尊重するよう」に申し入れました。

 このなかで、介護保険と障害者施策は目的が違うこと、障害者施策は必ずしも社会保険になじまないことなどから、多くの市町村長が「慎重を期すべき」「反対」との意向を表明しているとのべました。

 十六日開かれた社会保障審議会介護保険部会でも統合にたいし、市長会、町村会の両代表がそろって反対の意思表示。今後厚労省との調整は難航が予想されます。

医師会や財界も難色

 一方、財界も統合には難色の姿勢です。統合による介護保険料の事業者負担が増えることが背景にあります。

 日本経団連は意見書(四月二十日)で、支援費制度は始まってまだ一年でその評価もないまま、「財政状況が厳しい介護保険制度への統合はいかがなものか」と指摘。「若年障害者には、就労支援、所得保障をはじめ高齢者と比べて多様なニーズがあり、現行の介護保険制度の枠組みの中で一体的・効果的に障害者福祉施策が機能するかどうか疑問」としています。

 介護の必要度の認定作業には多くの医師がかかわります。日本医師会は、「統合が実施されることは介護保険制度に大きく影響を与える為、十分な検討が必要」「財政的な側面に重きを置いた形での見直しには直ちに賛成できない」と表明(六月)。「何らかの疾病や障害を抱えた国民は受難者であり、保険の恩恵を受けても決して受益者ではないはずである。その為、過度な負担を伴う制度は適切な社会保障ではな(い)」と指摘しています。


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