2004年7月22日(木)「しんぶん赤旗」
入学式などで「君が代」斉唱に起立しなかったことなどを理由に処分を受けた三十二人の都立高校教員が処分撤回を求め、二十一日、東京都人事委員会に不服審査請求をしました。都教委による「日の丸・君が代」を教職員に強制する実施指針・通達が昨年十月に出されてから、周年行事、入学式、卒業式での処分に不服審査請求した教職員は計百七十七人になりました。
都庁での記者会見で、都立高校教員の男性は「昨年十月以降、職場で個々人の行動が踏み絵にされ、立つ、立たないともに苦渋の選択が強いられた。いいかげんにしてくれという思いでいっぱい」とたたかう決意を語りました。
処分を受けた教員への「再発防止研修」命令の撤回を求める都立高校野球部監督の男性は、指定された研修日が、夏期合宿の初日にあたることから校長に研修の日程変更を申し出ていましたが、都教委から「研修の優先度を考えてほしい」と回答があったことを紹介。「監督不在の合宿になってしまう。研修命令は、生徒のための教育活動を妨害するもの。逆立ちしている」と話しました。
同行した澤藤統一郎弁護士は「都教委のやり方は、思想改造、転向を迫るもの、いやがらせ以外の何物でもない。内心の自由を直接侵害するもの」と話しました。
元都立高校教員や市民でつくる「都教委の暴走を許さない教職員と市民の会」(稲川昭・西村昭代表)は同日、「君が代」斉唱時に起立しなかったことなどを理由に懲戒処分を受けた教職員を対象とする「服務事故再発防止研修」に関する公開質問状を東京都教育委員会に提出しました。同会の安藤哲雄事務局長は「都立学校が学校でなくなってきている。憲法に書かれていることが書かれていないかのように扱われている。この国を民主的な国にするために努力していきたい」と話しました。