2004年7月23日(金)「しんぶん赤旗」
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二十一日に開かれた日本共産党創立八十二周年記念講演会で志位和夫委員長がおこなった記念講演(大要)は次のとおりです。
広い会場いっぱいにお集まりのみなさん、CS通信をご覧の全国のみなさん、こんばんは(「こんばんは」の声)。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます(拍手)。きょうはたいへんな猛暑のなか、こんなにたくさんのみなさんがお運びくださいまして、まことにありがとうございます。まず心からお礼を申し上げます。(拍手)
私は、「参議院選挙の結果と今後の国政の課題」というテーマでお話をしたいと思います。
まず選挙戦の結果についてであります。私たちはこの参議院選挙を、「総選挙での到達点をリアルに直視し、それを土台に着実な前進をはかる」――「反転攻勢」の選挙と位置づけて、たたかいました。比例代表選挙では五議席の獲得、選挙区では七つの現職区での議席確保に挑戦する、そのために総選挙の得票の33%増、六百十万票以上の獲得を目標としてたたかいました。
選挙戦の結果は、比例代表で目標の五議席を実現できず四議席にとどまり、選挙区選挙では現有議席を失いました。議席を大きく後退させたことは、たいへん残念な結果であり、ほんとうに申し訳ない思いであります。私は、党の国政の責任者として、こうした結果となった責任をいたく感じております。
同時に、私たちは、比例代表選挙でわが党に投じてくださった四百三十六万票、得票率では7・80%という得票の重みを深くかみしめております。これは、昨年総選挙の到達点である四百五十八万票、7・76%から見て、「反転攻勢」にはいたりませんでしたが、その到達点を基本的に維持するものとなりました。これは、わが党に投じてくださった有権者のみなさんのご支援、そして炎天下の猛暑のなかでがんばってくださった支持者、後援会員、党員のみなさんの大奮闘のたまものであり、私は心からの感謝を申し上げるものであります。(拍手)
選挙後、多くの方々から電話、ファクス、メールなどで、激励とともに、ご意見、ご批判、あるいは活動の改善の提案が寄せられております。また、都道府県委員長や地区委員長からも、さらに候補者のみなさんからも、感想と意見が寄せられております。
選挙戦の総括については、とりわけ、なぜ私たちが「絶対確保」の目標とした比例代表での五議席が獲得できなかったのかなどについて、党内外の方々のご意見に真剣に耳を傾けて、党中央自身の自己分析と自己検討をしっかりとすすめ、八月に予定されている第二回中央委員会総会でおこなうことにしたいと思います。
さて、この選挙をともにたたかった多くの方々からよせられた意見で共通しているのは、「論戦はやりやすかったし、支持が広がっている手応えもあった。それなのにどうしてこんな結果になったのか」というものでした。もっともな気持ちだと思います。私は、こうした声もふまえながら、今回の選挙戦についてふりかえって考えてみたいと思います。
まず、参議院選挙の論戦のなかで私たちが訴えた内容はどうだったでしょうか。私たちは、選挙戦で熱い争点になった年金、消費税、雇用、イラクへの派兵、憲法改定など、どの問題でも、政治の現状の告発とともに、わが党の建設的な提案を訴えてたたかいました。そして、これらの問題と結びつけて、その根本にある「アメリカいいなり」、「財界が主役」という政治の土台の歪(ゆが)みを大本からただす「日本改革」の方針をおおいに語って選挙をたたかいました。
私は、私たちのこれらの政策的な訴えの中身は、広い国民のみなさんの気持ちとかみあったものだと考えております。選挙の公示直前に、京都府内の十一の大学の学生がつくるグループが、政党名を伏せて、政策で投票する「模擬投票」というのをおこなっています。その結果を見ますと、年金問題、青年問題、政治腐敗の問題など、政策の全分野で、日本共産党の政策への共感がトップをしめるという結果が出ています。これは一端ですが、私たちの政策が国民の願いとかみあっていたことは間違いないと思うのです。
また、私たちはこの選挙戦で、そういう政策的な訴えと同時に、「二大政党」といわれる自民党と民主党が、日本の政治の歪みを大本からただす立場をもたないこと、当面の焦点となっている年金問題でも、消費税の値上げでも、憲法九条の改定でも、悪い政治を競い合っていることがその実態であることを、事実にそくして正面から批判し、「日本共産党を伸ばして、これに対抗する国民中心の新しい政治をおこしてこそ、日本の政治をよくすることができる」ということを訴えて、たたかいました。
私は、私たちが選挙戦で訴えたこれらの中身は、国民の利益にかなった正しいものであり、今後の情勢の展開のなかで重要な意味を持つことになると確信するものであります(拍手)。そのことは、「論戦はやりやすかったし、支持が広がっている手応えもあった」というみなさんの実感とも一致しているのではないでしょうか。
新しい国会で、また全国の津々浦々で、この選挙で掲げた公約の実現のために、誠実に、粘り強く、力をつくす決意を、私はまず申しのべたいと思います。(拍手)
しかし、「自民か、民主か」という「二大政党」の流れが強力につくられるもとで、わが党の訴えは、国民の世論を大きく動かし、党の前進に実を結ぶまでにはいたりませんでした。この点を、私たちは、選挙戦の結果についての常任幹部会の声明のなかで、つぎのようにのべました。
「『二大政党』の流れは、昨年の総選挙で財界を後ろ盾にして本格的に始まったものでした。これは、危機におちいった自民党政治の延命をはかるために、政治の歪みの大本には手をつけず、政権の担い手だけを焦点にするというものであり、すぐには政権の担い手とはならない日本共産党をはじめから選択肢から排除するものでした。この『二大政党』の流れは、強い力をもって今度の選挙でも作用しました」
それでは今度の選挙で、「二大政党」の流れは、どういう形で「作用」したのか。私は、選挙結果を見るさいにいくつか重要な点があると思います。
第一に、今度の選挙というのは、自民党への激しい批判が強まり、その支持基盤が大きくくずれるなかでの選挙だったということであります。自民党への強い批判と、「この政治をなんとか変えたい」という有権者のみなさんの思いが、いわば大きな激流となってひろがりました。しかし、「二大政党」のキャンペーンのもとで、この激流が民主党の支持へと流れ込む結果となりました。ここに今回の選挙の特徴があったと思います。
今回の参議院選挙で各党が獲得した比例代表の得票率を、昨年の総選挙で各党が獲得した比例代表の得票率と比較してみますと、主要五党の中で得票率を減らしているのは自民党だけであります。自民党はマイナス4・93%と大きく減らしています。自民党は得票も三百八十六万票減らしています。これは、自民党がいま、あの年金大改悪やイラク多国籍軍への自衛隊の参加の問題などで、いかに国民の支持を大きく失い、いかにその危機を深めているかをしめすものです。このことは、昨年の総選挙では、自民党と民主党が「政権選択」という名のもとに、はりあってともに得票率と議席をのばしたこととも違う、今回の選挙の新しい特徴でありました。
つまりいま、多くの有権者のみなさんがいよいよ自民党に愛想をつかしている。新しい政治への模索をはじめている。この点では、この流れは、私たちと方向性を共有しうる流れといえるのではないでしょうか。
選挙をともにたたかった多くの方々から、「有権者の反応が全体として、総選挙にくらべてあたたかかった」との共通した意見がよせられましたが、そこには自民党の支持基盤の崩壊のもとでの激動という、この選挙戦の新しい様相が反映していると思います。
第二に、しかし、この激動を、日本共産党の前進、躍進に結びつかなくさせるうえで、「二大政党」のキャンペーンは強力な作用を発揮しました。その最大の作用とは何か。それはすぐには政権の担い手とはならない共産党は、はじめから選挙の選択肢から排除してしまう、その存在を無意味なものであるかのようにしてしまうことにありました。そのことはともに選挙をたたかった多くのみなさんが、「共産党はいいことをいうが力は小さい」という声にぶつかったという感想をよせていることにも示されていると思います。「いいことをいう」というところまでは認めてくださるわけですが、その先がちがってくるのですね。
わが党をはじめから選挙の選択肢から排除するというこの動きは、選挙最終盤になって、マスコミがいっせいに「選挙情勢報道」をおこなうなかで、一段と強まりました。
選挙をふりかえってみますと、私たちが、この選挙で、日本共産党の政策と方針への支持を広げ、共感をひろげ、多くの党の新しい支持者の方々を得たことは間違いないと思います。
しかし同時に、いまのべた「二大政党」のキャンペーンがはんらんするもとで、これまで日本共産党を支持していた方々のなかで、自民党への怒りと「ともかくこの政治を変えたい」という思いから、民主党に投票した方々も、かなり広くあったことは事実だと思います。
そういう選択をした方はどういう思いで投票したのでしょうか。さまざまだと思いますが、党本部に届いたたくさんの電話やメールを読みますと、その気持ちがうかがわれます。私は、そのなかから、一通のメールを紹介したいと思います。女性の方です。
「私は二十五年ずっと共産党を支持してきました。でも今回は、どうしてもどうしても自民党をつぶしたくて民主党に、娘とともに投じました。おそらく私と同じような行動をとった人たちが、今回何万人もいるのではないかと思います。私は党員ではありませんが、共産党が一番誠実で、一番国民のことを考えてくれる党だと信じています。今後も期待しています」
こういうメールなんですね。私は、この選挙で、「共産党から民主党へ」という選択をした方も、その多くは、共産党に愛想をつかしての選択ではないと思います。またそれが民主党の政策をまるごと支持した結果でもないことは、さまざまな世論調査を見ましても、この選挙で民主党を支持した方の約七割が、「自民党を批判するため」に入れたと答えていることからも明らかだと思います。
しかし、「二大政党」のキャンペーンのなかで、私たちをこれまで支持してくれた方々のなかでも、こうした思いから民主党に投じるという流れがつくられたことは、重大な事実として直視しなければならないと思います。
この選挙は、「二大政党」の選択を有権者に無理やり迫るという共産党締めだしの新しいしくみが、かなり強力で、根深いものであることを、私たちに痛感させるものとなりました。多くの方々の力をつくしての奮闘にもかかわらず、わが党が「反転攻勢」にいたらなかった原因には、こうした複雑で難しい選挙戦の条件がありました。
ただ、私たちは、今回の選挙の結果を、こうした客観的な困難があるから、「やむを得なかった」とする立場にたつものでは、もちろんありません。とくに、比例代表で五議席を獲得するということは、私たちの奮闘いかんでは実現可能な目標として、私たちみずからが設定したものですから、これが達成できなかったことを、客観的な困難に解消するわけにはいかないと考えております。私たちの主体的なとりくみがどうであったかについて、冒頭にも申し上げたように、党中央自身の自己検討も含めて、問題点を深く明らかにし、今後のたたかいにその教訓を生かす決意であります。
つぎにのべたいのは、それでは、この動きにたいしてどう立ち向かうのか。今後のとりくみについてであります。
「二大政党」の動きというのは、危機におちいった自民党政治を延命させるために、財界主導でつくられた大掛かりな動きであるだけに、一過性のものではありません。それは、つぎの衆議院選挙をはじめとする国政選挙にむけて、いっそう大規模につくり出されることでしょう。それだけに、この動きに対抗して国民中心の新しい政治をおこし広げることは、日本共産党が全力をあげてとりくむべき大仕事だという覚悟を持ってのぞまなければなりません。
私たちはつぎの国政選挙での前進にむけて、ただちに次のような課題に本腰を入れ、日常不断に系統的にとりくんでいきたいと思います。
その第一は、「二大政党」が共通の旗印としている、消費税の増税と憲法九条の改定にたいして、国民とともに、くらしを守り、平和を守るたたかいを進めることであります。とくに私は二〇〇七年度が、この二つの問題にとって重大な節目の年になろうとしていることを正面から見すえて、たたかいにとりくみたいと考えております。
消費税増税についていいますと、自民党と公明党が、「税制改正大綱」のなかで、消費税の値上げを「実現する」としているのは、二〇〇七年度からです。民主党が提出した「年金改革」法案で、消費税増税を実施するとしている年も二〇〇七年度であります。選挙中の記者会見で小泉首相が、「消費税値上げの時期と上げ幅について、すみやかに与野党で協議に入りたい」とのべていることも重大であります。つまり、自民党・公明党と民主党との談合によって、今年から来年、再来年にかけて消費税値上げの段取りが立てられ、二〇〇七年度から増税が実施される危険が差し迫っている、このことを直視する必要があります。
それから憲法九条改定についても、自民党は二〇〇五年には独自の憲法改定案を発表するといっています。民主党も、遅れてはならじと、二〇〇六年には独自の改憲案を発表するとしています。そして衆議院の憲法調査会会長の中山太郎氏は、「二〇〇七年度には、憲法改正を実現する」と最近の雑誌の中で宣言をしています。こちらも二〇〇七年度です。戦後はじめての改憲への危険が、現実の日程として切迫したものとなりつつあります。
参議院選挙後の状況を見ますと、自民、公明、民主の各党首脳から、増税と改憲の実施にむけた大合唱がおこっています。自民党の幹事長代理は、「年金はもらいつづけたいが消費税は嫌だとする、人間の性(さが)を抑える必要がある」(どよめき)と、ずいぶんひどいいい方でいいました。民主党の代表は、「国連が編成した多国籍軍に自衛隊を参加させるために、憲法を改定し、武力行使もできるようにすべきだ」と、その改憲論をさらにエスカレートする発言をおこなっています。
しかしみなさん、私がここで強調したいのは、こんどの選挙で、国民は「二大政党」に増税と改憲の「白紙委任状」を与えたわけでは決してない、ということであります。(拍手)
たしかに自民党、公明党、民主党が、増税と改憲を公約のなかに掲げたことは事実であります。しかし、これらの政党や候補者が、増税と改憲を選挙戦で正面から訴えて、その信任をえたわけでは決してありません。「増税の一票は民主党に」、「改憲の一票は自民党に」、こうやって訴えて選挙をやったわけではありません。
じっさい、政党が有権者にしめすもっとも重要な文書である「選挙公報」を調べてみましたら、自民党、公明党、民主党の各党は、比例代表の「公報」で、どの党も、増税と改憲には一言もふれていません。それから選挙区の「公報」もすべて調べてみましたが、自民、公明、民主で当選した議員合計六十八人のうち、消費税にふれているのはわずか一人です。改憲にふれているのも、わずか六人にすぎません。選挙前の世論調査をみましても、消費税の増税と憲法九条の改定のそれぞれにたいして、国民の六割は反対だという結果がしめされています。選挙戦のこの結果をもって、増税と改憲が信任されたなどというのは、まったく国民の民意をとりちがえた見方ではないでしょうか。(拍手)
国民の民意を無視して、増税と改憲という二つの大問題を強行しようとすれば、大きな矛盾と激動がおこらざるをえません。その帰趨(きすう)は、これからのたたかいにかかっております。わが党は国政の場でも、草の根でも、国民のみなさんと広く手をたずさえて、増税と改憲のたくらみを打ち破るために全力をつくす、この決意を申し上げたいと思うのであります。(拍手)
すでに「九条の会」にみられるように、立場の違いをこえて、憲法九条を守り、生かそうという一点で、国民が手をつないだ運動が力づよく広がりつつありますが、これは深い意義をもつ運動であります。わが党は、憲法改悪反対の一点で、立場の違いをこえ、広い国民的な共同をつくりあげるために、知恵と力をつくすということを、ここにお約束するものであります。(拍手)
消費税の増税と憲法改悪という問題は、国政の進路をめぐる大問題ですから、これに反対するたたかいを文字どおりの国民的な規模で広げるならば、私は、そのなかで「二大政党」の動きのほんとうのねらいが、国民のみずからの政治的な体験を通じて明らかになっていくだろうと思います。そういう展望をもって奮闘したいと考えております。
第二は、新しい綱領と「日本改革」の方針を、多くの国民のみなさんに語り広げるための系統的なとりくみに、新たな決意でとりくみたいということであります。
「二大政党」の動きをみますと、くらしを壊し、平和を壊す悪政をすすめるさいに、「これ以外には方策がない」、「やむをえない選択だ」――こういうふうに、国民をいわば“やむなし論”といいますか、“ほかに道はない”と、袋小路に追い込む政治的キャンペーンをおこなうことと一体にすすめられている。こういう特徴があるのではないでしょうか。
たとえば、年金改革にかかわって、与党や民主党と議論しますと、かならず持ち出してくる論理は、「高齢化がすすむのだから、負担を増やし、給付を減らすことは、だれがやってもさけられない」。“だれがやっても同じ”論です。
それから消費税の増税を押しつける論理も、「福祉のためには、ほかに安定した財源が見当たらない。だから、少々つらくても消費税しかないのだ」、こういうものですね。
さらに、憲法九条の改定を押しつける論理も、「アメリカが日本を守るためにたたかっているときに、日本がアメリカを守らなくていいのか」という、「日米同盟」をあらゆるものに優先させるというものであります。
このように「アメリカいいなり」、「財界が主役」という古い政治の枠組みを絶対不変とする立場から、この枠組みのなかでの「解決」策しか、「現実」的にはとれないんですよというところに、国民のみなさんを追い込む。そういう袋小路に追い込んで、くらしと平和を破壊する悪政を無理やりのみ込ませる。これが「二大政党」の動きの特質になっていると思います。
ですから、これを打ち破ることを考えましたら、その悪政の批判は当然大事ですが、批判だけではたりません。日本を本当に改革する別の新しい選択肢があること、すなわち私たちの「日本改革」の方針を広く国民に明らかにすることがどうしても必要になってきます。参議院選挙で私たちは、税金の使い方と集め方の歪み――「財界が主役」の政治の土台の歪みを大本からただしたら、消費税に頼らなくても安心できる社会保障をきずくことができると大いに訴えました。憲法を生かした平和な日本をきずくうえでも、日米安保条約をすべてに優先させる政治の歪みをただす改革が必要だと訴えました。
私たちは、新しい綱領を縦横に使って、これらのとりくみをさらに発展させ、日本共産党の「日本改革」の方針という、国民の苦難をとりのぞく真の改革の選択肢が存在するということが、多くの国民のみなさんの視野に力強く入ってくるようにする、そしてまたそれが多くの国民のみなさんから見て、説得力をもって受けとめていただけるようにする、そのために新たな知恵と力をつくしてがんばりたい、この決意を申し上げたいと思うのであります。(拍手)
第三は、情勢をみずからの力で切り開く、その力を強めるということです。すなわち、私たちが持つ草の根の力をさらに大きくする努力であります。
私たちは、昨年の総選挙の教訓を深く明らかにして、一月の党大会で、党を大きくして選挙をたたかう方針を決定し、五カ月連続で「しんぶん赤旗」の読者を増やしてきました。読者を増やしながらの選挙というのは久方ぶりです。多くの都道府県委員長や地区委員長からの報告を読みますと、「このとりくみが、党内の活力と自信を広げ、大きな力となった」、「このとりくみがあったからこそ、難しい選挙で持ちこたえる力となった」ということが共通して語られています。たいへん重要なことだと思って読みました。
私も、全党のみなさんや後援会員のみなさんの奮闘によってきずかれた、この五カ月のとりくみの成果は、きわめて貴重なものであって、このとりくみがあったからこそ、難しい条件のもとで、「反転攻勢」にはいたらなかったけれども、得票を基本的に維持することができたことは、間違いないことだと考えております。
私はあらためて、党大会決定にもとづいて、党を強く大きくするために不屈の努力を続けてきた、全党のみなさんや後援会のみなさんの努力に、心からの敬意を申し上げたいと思うのであります。(拍手)
ただ、みなさん、このとりくみは、開始されたばかりであります。
――開始された、党勢拡大の前進の流れをけっしてとぎれさせることなく、いかに継続・発展させるか。
――そのなかで、今回の選挙でも、その活躍が光った若い世代を、党に迎え入れる仕事をどうやって成功させるか。
――すべての党員のみなさんが新しい綱領を身につけ、得手と条件を生かして、生き生きと参加する党活動をどのようにしてつくりあげるか。
そのどれもが新しい探求と挑戦が求められる、大きな仕事であります。
私たちは、情勢のどんな激動的な展開があっても、それをみずからの力で切り開きたい。みずからの力で切り開くことができる量質ともに強大な党をつくりたい。この仕事に新たな情熱を傾けて、とりくむ決意であります。この分野でも、みなさんのご支援とご協力を心からお願いするものです。(拍手)
みなさん、きょうは日本共産党が創立して八十二年目の記念の集いであります。わが党の八十二年の歴史を貫くものは何か。私は、それは、どんな複雑な情勢でも“科学の力”でそれを見通し、国民の利益に立った方針を立てること。そしてどんな困難があってもそれに負けずに、“不屈の力”で立ち向かうことにあると思います。
戦前の暗い時代に、私たちの先達たちは、どんな迫害に対しても、この“科学の力”と“不屈の力”で立ち向かって、侵略戦争反対と国民主権のためにたたかいぬいた唯一の政党という誇りある足跡を、わが国の歴史のなかにしっかり刻み込みました。
日本共産党という私たちの名前は、わが党が展望する未来社会を象徴する名前であるとともに、いくたの先輩たちの平和と民主主義のための苦闘が、刻み込まれた名前であります。
私たちは、この党名を高く掲げて、激動の情勢に正面から立ち向かいたい、そして、つぎの国政選挙で前進をかちとるために、力のかぎりがんばりぬきたいと思います。(拍手)
みなさんのご支援とご協力をかさねて心からお願いいたしまして、私の話といたします(拍手)。ご清聴ありがとうございました。(大きな拍手)