2004年7月23日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】二〇〇一年九月に起きた同時多発テロ以前の米政権の対米テロへの対応が適切だったかどうかを調査していた超党派の国家調査委員会は二十二日、最終報告を発表します。米メディアによれば、報告書は、クリントン前政権以降、テロを阻止する機会が十回ありながら、それを逃していたことを明らかにしています。
二十一日付のワシントン・ポスト紙によれば、同報告は、テロを事前に阻止したり計画をつきとめる機会が、クリントン前政権時に四回、ブッシュ現政権時に六回あったと指摘しています。
具体例として▽同時多発テロに関連して起訴されているモロッコ系フランス人のムサウィ被告をテロ発生以前に逮捕しているにもかかわらず、連邦捜査局(FBI)が対応を誤った▽中央情報局(CIA)がテロ事件のハイジャック犯二人をテロのブラックリストに入れなかった▽同テロの首謀者であるウサマ・ビンラディンの拘束や殺害が不成功に終わっている―などを挙げています。同記事や他のメディアはまた、報告が、「われわれの政府内に機構的な欠陥があった」と強調する一方で、同時テロが事前に防げなかったと結論づけていると報じています。
さらに報告は、情報機関の不手際を批判し、各機関が情報を持ちながら共有しなかったなどとして、FBIやCIAを統括する閣僚級の新ポスト創設の必要性を説いています。
国家調査委員会は、共和党、民主党からそれぞれ五人ずつの十人で構成され、二十カ月以上にわたり調査を進めてきました。