2004年7月23日(金)「しんぶん赤旗」
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イラクで武装グループに拘束され、解放された北海道千歳市のボランティア、高遠菜穂子さん(34)が二十二日、東京都内で開かれたイラク報告集会に出席し、イラクでの体験と思いを涙ながらに語りました。高遠さんが大勢の市民や報道陣の前で話をしたのは帰国後はじめて。
集会は「イラク市民と語る」(同実行委員会主催)。イラクで拘束された今井紀明さん、郡山総一郎さんとともに、高遠さん自身が呼びかけ人になりました。
高遠さんは冒頭、「解放にお力をいただき、心から感謝しています」と二度続けて深く頭を下げました。
高遠さんはイラクでの体験を報告。「イラク人には本当にひどい話がいっぱいあって、彼らに怒り、憎しみの感情がものすごくくすぶっている。それを受け止めてもっと日本のみなさんに伝えるべきだったと反省しました」と語りました。
そして、事件を振り返りながら、「私はイラク人を敬いたい。人間として二本足で立ち、目と鼻と口と耳と手があって、違うのは言語だけだと今回の事件で痛いほど知りました」と話しました。帰国時には、路上の子と過ごした時間もふくめ「自分は本当にイラクにいたのか、本当にイラク人と対話していたのか、わからなくなっちゃった」とも。
集会では高遠さんの活動を援助するバグダッドの建設会社経営者、イフサン・アリ・スレイマンさんが発言。「われわれの涙は枯れています。イラクの人は疲れきっている。平和がほしいと思っている」と支援を訴えました。