2004年7月24日(土)「しんぶん赤旗」
憲法改定を現実の日程にのせようとする政界の動きに呼応して、米国や財界からもそれを後押しする動きが参院選後、強まっています。
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「憲法九条は日米同盟関係の妨げの一つになっている」。アーミテージ米国務副長官が二十一日、訪米中の中川秀直自民党国対委員長との会談で語ったように、改憲の狙いは、海外での武力行使を禁止した九条を取り払い、日本を米国の戦争に参加させるためです。
同副長官は会談で「十年前でさえ、今のような(憲法改正)論議は無理だった。五年前でも、ささやかなければならなかった」と指摘。憲法改定を掲げる自民、民主の「二大政党」と公明党が国会で多数を占める状況をチャンスととらえ、改憲の動きを一気に進めようという思惑です。
財界の動きも急です。選挙後、日本経団連は憲法改定、安全保障政策などを議論する「国の基本問題検討委員会」を設置し、提言づくりの会合をスタート。奥田碩会長は「政治的にも安定したこの時期が、国の基本問題を検討する好機」(十五日)と見ています。
自民党は「おおよそ三年後、二〇〇七年には戦後初の憲法改定が実現する」(中山太郎衆院憲法調査会会長)と位置付け、その動きを強めています。自民党憲法調査会は憲法改定にむけ、公明、民主両党へ協議機関の設置をよびかける方針を決めました。今月末に開会される臨時国会で、自民、公明、民主の三党が六月にまとめた改憲のための論点整理などを議論する衆院憲法調査会を開こうとしています。
強まる改憲の動きに対し、世界に誇る憲法を守り、発展させようと日本の良心を代表する著名九氏のよびかけで「九条の会」が六月十日に発足。各界各層に賛同が広がっています。二十四日に東京都内で発足記念講演会が開かれます。