日本共産党

2004年7月24日(土)「しんぶん赤旗」

年金不信いっそう拡大


 自民、公明の小泉内閣は、四十カ所にも及ぶ年金改悪法の前代未聞の条文ミスを、正誤表の官報掲載ですまそうとしています。ミスが放置されれば国民に甚大な影響が及ぶ重大問題なのに、国民へのまともな説明もなく、野党が求める修正案の提出さえも拒否する姿勢は、国民の年金不信をいっそう広げるものです。

 政府が条文ミスを認めたのは、六月二十三日のマスコミ報道がきっかけでした。政府は「うっかりミス」(小泉首相)だとして、国民への影響についてはまともに説明しようとしませんでした。

発覚後一カ月も影響の説明せず

 しかし、二十一日の衆院議院運営委員会理事会で、日本共産党の穀田恵二議員の求めに応じて厚生労働省が提出した資料で、配偶者に支給される加給年金が月額約二万円減になるなど、受給者四百万人以上に影響が及ぶことが初めて明らかになったのです。

 翌二十二日の同理事会で厚労省は、条文ミス全体で五百万人以上に影響が及ぶことを報告。最初に条文ミスが発覚してから約一カ月後のことでした。

 しかし、政府・厚労省は重大なミスがなぜ生じたのか、どこに問題があったのかなど、根本的な説明を避けたままです。

国会と国民への説明を拒む

 条文ミスを適切に処理するとともに、ミスが起こった原因や背景、責任、再発防止策などについて明らかにすることは、政府・与党の責任で、国会に課せられた責務です。

 これまでの官報の訂正掲載は、修正が軽微で、全党が合意しての措置でした。四十カ所にも及ぶ今回のミスについては、修正案を出してやり直すべきです。それは議会制民主主義のルールからいっても当然です。

 ところが、自民、公明両党は「(条文ミスは)法律の趣旨を変えるものではない」として、修正案提出の野党要求を拒否し、国民への説明がまったくない官報による訂正ですまそうとする政府・厚労省の方針を認めてしまいました。国会の自殺行為ともいうべき無責任な姿勢であり、先の通常国会で「百年安心」などと大うそをついて年金改悪法を強行したこととあわせて、二重三重に国民をあざむくものです。

 国民は、年金改悪法を強行した与党に参院選で厳しい審判を下しました。選挙後の世論調査でも、改悪法の白紙撤回を求める声が八割を占めています(「朝日」十四日付)。

 条文ミスを官報による訂正ですまそうとする政府・与党の姿勢は、国民多数の声にさからって年金改悪法実施をごり押ししようとするもので、国民との矛盾を広げることは避けられません。

 (山岸嘉昭記者)


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