2004年7月26日(月)「しんぶん赤旗」
静岡県熱海市で開かれていた日本医労連第五十四回定期大会(二十二―二十四日)は、小泉内閣による医療切り捨て政策のもとで、医療労働者が患者・国民の命と健康を守り、自らの生活と権利を守ることを一体のものとして運動を広げている報告が相次ぎました。
神奈川県内の民間財団立の杏雲堂平塚病院の労組委員長は、住民と共同した一年三カ月のたたかいで、病院存続をもとめる五万人の署名を力に、平塚市議会で病院存続を求める請願を全会一致で趣旨採択し、財団を監督する文部科学省要請を行い、病院存続の展望を切り開いたと報告。「もうすぐ新しい病院として開院します。賃金は二割ダウンになるものの、よい医療とよい看護の実現のため、力いっぱいがんばりたい」とのべました。
ことし四月に独立法人化した国立病院の賃金職員(非正規職員)の雇用確保について、国立病院の職員を組織する全医労の委員長が発言。約六千人の賃金職員のうち、看護師など半数は正職員化を実現したが、千人は短時間パート、院内保育所の保育士六百人は委託先の民間業者へ移り、千五百人が退職せざるを得なかったとのべ、「短時間パートでは月十万円にもならず、とても生活できない」と職場を去った仲間に思いを寄せ、「憲法や労組法に基づく労使関係を確立し、地域医療を守るために全力をあげたい」と語りました。
青森県の代議員は、国保料を支払えず、国民健康保険証が取り上げられる事態が続発するなか、病気を我慢して救急車で病院に搬入されるケースが増えていると告発。患者の経済状態に応じて保険料の一部を支払えば短期保険証をさかのぼって発行するよう行政に認めさせる運動を患者と一緒にすすめてきたと紹介し、苦しむ人に手を差しのべ、命と健康を守るたたかいを地域で広げていく決意を表明しました。
福岡県医労連の代議員は、毎年続けている、県内の全医療機関を一年かけて訪問する活動を報告しました。「医労連の組合がないところも、大半が好意的な対応で、国への要望や診療報酬の改善などの課題で共同が広がる」とのべました。
医療職場にもパートなど非常勤職員の比率が高まり、すでに三割を占めています。愛知県の北医療生協労組の代議員は、一年間でパートヘルパーら六十人以上を組合に迎え入れ、〇四春闘でパートの時間給を十円から八十円の賃上げを実現したと報告しました。