日本共産党

2004年7月26日(月)「しんぶん赤旗」

フィリピン与党上院議員団長

“撤兵を機に国連中心のイラク再建の枠組みへ”


 フィリピン政府がイラクで武装集団に拘束された人質解放のため撤兵したことについて、米国は「テロリストに誤ったシグナルを送る」(バウチャー米国務省報道官)と厳しく批判しています。しかし、フィリピン国内では国民の生命を優先させた政府の撤兵を支持する声が圧倒的多数を占めています。

 さらに、この機会に、国連が中心的役割を果たす枠組みの中で、イラクの復興支援のために幅広い国際社会が合意できる道を探るべきだとの意見が与党議員から出されています。

 アロヨ政権与党の上院議員団長フランシス・パンギリナン氏は、香港発行の英字週刊誌『ファー・イースタン・エコノミック・レビュー』二十九日号に、「なぜフィリピン(軍)はイラクを早く去ったのか?」と題するコラムを寄稿。そのなかでフィリピン政府のイラクからの全面的撤兵の決定は、イラクの状況と基本問題について次の三点を踏まえてなされたものだとのべています。

 第一に、フィリピン政府は、イラクへの主権移譲が六月二十八日に完了する以前に、八月二十日には部隊を撤退させる方針を決めており、派遣部隊の使命は終わったと考えていた。

 第二に、イラクでの米国主導の連合軍にたいするフィリピンの誓約のもともとの要素は変化していた。主権移譲後のイラク再建の活動では、国連が中心的な役割を果たせるように変える必要があるという意見がアロヨ政権内部の高官たちの間で出ていた。撤兵決定は、この点を真剣に考慮してすばやくなされた。

 第三に、サウジアラビアだけで百万人、中東全体で百三十万人のフィリピン市民が働いているという独自の状況がある。もし、われわれが(撤兵を)実行しなければ、百三十万人のフィリピン市民が報復の標的になっていたかもしれない。

 パンギリナン氏は、「われわれの決定が、イラク再建への活動を見直す道を開くきっかけになるよう希望する。それは、国際社会のなかで最も幅広い合意の達成をめざすものであるべきだ」と結んでいます。


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