2004年7月26日(月)「しんぶん赤旗」
憲法を変えようという動きが強まっています。標的にされているのは、戦争放棄を誓った第九条。その憲法九条を「守りたい」「自分たちの未来は、平和のままでありたい」と、各地の高校生が「高校生戦争協力拒否宣言アピール署名」を集めています。取り組み開始の記者会見(十五日)から国会要請行動(二十二日)までの一週間、東京都の高校生たちを追いました。和田 肇記者
行き帰りの人々でごった返す十七日の東京・渋谷駅前。高校生十人ほどのメンバーが宣伝に集まりました。
「憲法九条が変えられようとしているんです。どう思いますか」。堀江泰斗さん(高校二年)が男性会社員(22)に、憲法九条への賛否を問うシール投票を呼びかけました。男性はいきなり、九条を「変えたい」のところにシールを張りました。「だってもう、イラクに自衛隊いってるじゃん」
堀江さんは、一生懸命に説明します。「戦争ができるようになって、将来徴兵制になっちゃったらダメだと思うんだ。僕らは、人を殺したくも殺されたくもない。だから戦争しないと決めた憲法九条を守っていきたいって思いがあるんです」
黙って聞いていた男性。「じゃあ、守ったほうがいいね」とシールを張り直します。男性は「まじめに聞かずにシールを張ったけど、彼の熱い話に、こりゃよくないなって(張り直した)。自分が十六―十七歳のころは、あんなこと考えてなかったからびっくり」と肩をすくめます。
“同年代の人がこんなことを考えてるなんてすごい”という意見も多く寄せられました。署名に応じた豊島区の男子高校生(一年)は、「戦争したくないって思ってても、おれは実行できない。やってる人はすごい」と感心します。
実行委員の荻原至さん(三年)=品川区=は、「ぶっちゃけ、あんまりやりたくない。人と話すのはそんなに得意じゃないんで。でも、憲法九条が変えられようとしてるなら、自分から行動しなきゃ。おかしいと思ってるのに何も言わないんじゃ、賛成してるのと同じだから」といいます。
署名しながら戦争体験者の話を聞いた葛飾区の樋口亮(まこと)さん(高校二年)はキッパリといいます。「戦争を繰り返さない、それは僕たちの使命だと思います」
「署名行動に参加してよかった」とうれしそうに話すのは、佐々木玲依亜(れいあ)さん(16)=大田区=です。友達に誘われていきなり宣伝に連れ出されるまで、「友達がこんな活動をやってるなんて知らなかった」といいます。
それまでは、憲法改悪なんて「聞いたことがあるくらいで、別の世界の話」でした。「今まで社会的な活動にかかわったことってないんです」。実行委員会に入っていなければ、演劇部の活動を頑張る高校生でした。「政党の違いも分からなかったけど、政治に関心が向くようになった。それに、一生懸命頑張る人たちがいると知れたこともよかった。知った分だけ得した気分です」
実行委員長の市毛哲哉さん(都立高校三年)は、若者が立ち上がらなければ、といいます。
「九条を知らない人でも説明すれば『守らなければ』で一致します。『平和がいちばん』は大多数の人の思いだと実感できるようになりました。だけど、まだ改憲の流れを知らない人も多く、もっと多くの人たちに九条を伝えていけたらと思っています。近いうちにまた国会要請をしたいですね」。署名行動は続きます。
連絡先 高校生戦争協力拒否宣言アピール署名実行委員会
署名送付先 〒350―1232 埼玉県日高市中鹿山234の1 高校生平和ゼミナール全国連絡センター 小岩井増夫方
ホームページ http://www.Geocities.co.jp/HiTeens/2859/
一、私たちは殺したくも、殺されたくもありません。あらゆる戦争協力を拒否します。
一、戦争しないと決めた憲法9条を変えないでください。
一、日本政府は私たち高校生の声を聞き、武力ではなく、憲法9条をもつ国として、世界の平和のために行動してください。
Q 現在、埼玉県の自宅から東京都内の高校に、約二時間かけて通学しています。僕はバイクで通学すると通学時間が短縮できるのでバイク通学したいのですが、親も学校も許可してくれません。(高校二年生、男子。埼玉県)
A 学校や親が反対するのは当然です。あなたは今、バイクを所有することによって、つきまとうすべての責任をまっとうできますか? まずバイクを所有するためには、教習所に通って免許を取らなければなりません。
お金は誰が出すのですか? また、ほとんどの学校は二輪免許を取得することを禁止していますが、もし取得がバレたら停学になり、免許を取らせた親の責任も追及されます。あなただけの責任ではなくなります。
さらにバイクを乗るならば、万が一の事故に備えて月々高額の任意保険にも加入しなければなりません。
本当にバイクが好きなら将来、自分の力で手に入れてほしい。そして自分の責任で乗り続けてほしい。バイクは簡単に人の命を奪います。私の仲間も昔、バイクで死んでしまいました。そして私自身、バイクの事故で内臓が破裂し、意識不明の重体に陥った過去を持っています。
確かにバイクは自由で便利な乗り物です。でも、だからこそ、それを所有することに対する、意識も含めた自覚と責任が必要となるのです。
片道二時間、往復で四時間。例えば、その時間を読書に費やす。歴史に名を残す若き文学者が、その先で誕生するかもしれません。
「往復四時間もかかる」ではなく「一日に四時間もの時間が保証されている」という風に発想を転換すれば、すごいことができます! 今しかできないことを必死になって追い求める。それが近い未来、必ずあなたの道を照らしてくれます。応援しています。