日本共産党

2004年7月28日(水)「しんぶん赤旗」

「実権、なお米国に」

イラク「主権移譲」1カ月

宗教指導者ら「占領を拒絶」


 イラクで米占領当局から暫定政府に主権が「移譲」されて二十八日で一カ月です。「主権移譲」式典では、「暫定政府は完全な主権を行使することになる」(占領当局のブレマー元責任者)「イラク国民にとって歴史的な日」(暫定政府のアラウィ首相)などの言葉が並びましたが、国民がこの言葉を実感するには程遠い現状です。(カイロ=小泉大介)

 主権移譲から一カ月を前にした二十三日の金曜日、首都バグダッドや中部ファルージャのモスクで、イスラムの宗教指導者たちが訴えました。

 「米軍はイラク国民の安定した生活を望んでおらず、暫定政府は米軍による住民弾圧に手を貸している」「イラク国民は占領を拒絶し国を再建するために、違いを乗り越えて手を携えよう」

住民を殺りく

 同日早朝、米軍は、首都西方のファルージャを空爆、子ども二人を含む民間人五人を負傷させました。「主権移譲」以後四回目のファルージャ爆撃です。米軍が同地の市民施設爆撃を始めた六月十九日から数えれば七回目。この間に女性や子どもなど八十人以上の住民が命を落としています。

 爆撃は米軍の一方的な作戦ですが、暫定政権のアラウィ首相はこれを歓迎。米軍と暫定政府一体の民間人大量殺りく作戦といっていい状況です。

 エジプトの週刊紙アルアハラム・ウィークリーは指摘します。「(ファルージャ空爆は)暫定政府がイラクをコントロールしているというアラウィ首相の主張にもかかわらず、依然として米国が実権を握っているとの認識を深めさせるだけだ」

先行きは不明

 他方、暫定憲法にあたるイラク基本法が定めた「主権移譲」後の重要プログラムは、イラク全土からの代議員による国民会議を開き、暫定政府の顧問機関となる諮問評議会を選出することです。

 しかし、イスラム教スンニ派の有力組織であるイスラム聖職者協会などは、暫定政権そのものが米国の影響下にあることなどを理由に会議参加を拒否。聖職者協会などスンニ派とシーア派が共同して五月に設立した「イラク建設国民会議」代表で、シーア派指導者のジャワド・ハリシ師は独自の国民会議を開催するとまで宣言しています。政治日程も先行き不明の状態が続いています。


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