2004年7月28日(水)「しんぶん赤旗」
石破茂防衛庁長官は二十七日の記者会見で、自衛隊が海外の敵基地に対する攻撃能力を保有することについて「現在、政府・防衛庁として、そのような能力を持つという考えを持っているわけではない」としつつ、「検討は可能な限りあらゆる角度から、徹底して行われるべきものだ」とのべ、検討を否定しませんでした。
政府・防衛庁は現在、「防衛力」のあり方とその整備目標を定める新たな「防衛計画の大綱」の策定作業を年内を期限に進めています。報道によると、その検討作業のなかで、敵基地攻撃能力について「保有を検討する」とし、対艦ミサイルを改良して陸上攻撃もできるようにした米軍の「ハープーン2」、イラクへの先制攻撃で使用された巡航ミサイル「トマホーク」、対地攻撃機搭載の軽空母の導入や、すでに導入を決定している精密誘導爆弾の敵基地攻撃への使用などが検討対象にあがっています。
これまで政府は「他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持つことは、憲法の趣旨ではない」(一九五九年、伊能繁次郎防衛庁長官=当時)「いわゆる攻撃的兵器を保有することは、自衛隊のための最小限度の範囲を超えることとなるから、いかなる場合にも許されない」(八八年、瓦力防衛庁長官=当時)と指摘。保有できない兵器の例として、攻撃型空母や大陸間弾道ミサイル(ICBM)、長距離戦略爆撃機をあげてきました。
軽空母や巡航ミサイルなどを保有することになれば、政府の従来の立場さえ踏み破ることになります。かつて日本がはじめた侵略戦争で甚大な被害をうけたアジア諸国から、警戒や非難の声があがることは避けられません。