2004年7月28日(水)「しんぶん赤旗」
【ボストン=浜谷浩司】イラクに長期に駐留し、企業減税など財界優先のケリー上院議員の政策―。「ブッシュ政権を倒すためケリー候補に投票するが、ケリー候補を支持はできない」と、民主党員や支持者の多くがジレンマを感じています。
アリゾナ州に住むミシェル・スパイデルさん(25)も、民主党の予備選では左派のクシニチ候補を支援してきました。しかしケリー氏が同党候補に指名される以上、ケリー支持の運動をすると言います。
米国のインドシナ介入に関して国防総省が作成した『ペンタゴン・ペーパーズ』で知られるダニエル・エルズバーグ氏は二十三日、平和活動家らと連名で「進歩勢力への公開書簡」を発表しました。
書簡は、ケリー氏の政策を認めることはできないとし、東部マサチューセッツ州のように民主党が勝つとはっきりしている州では緑の党のカッブ候補を推薦。民主、共和のどちらが勝つか分からない州ではケリー氏に票を投じるよう求めました。
このなかで、民主党内の草の根の活動家らが新たな全国団体を立ち上げようとしています。民主党大会がケリー氏を候補に指名して閉幕する二十九日、新たな団体「進歩的民主党員」(PDA)が同じボストン市内で集会を開催します。
主催者によれば、集会には、ケリー候補と予備選を争ったクシニチ下院議員やディーン前バーモント州知事、またジェシー・ジャクソン師や反戦組織「戦争なしの勝利」のアンドリューズ事務局長(元下院議員)らも参加する予定です。
民主党左派の間では、ブッシュ打倒は第一段階で、第二段階では進歩的政策の実現に向けて運動を強める、との主張があります。しかし、民主党を国民本位に変えられる展望はないに等しいのが現実。「民主か、共和か」の選択しかない二大政党制が、政治転換を妨げています。
ボストンで集会の組織に走り回るスパイデルさん。二大政党制をどう思うかとの質問に、スパイデルさんは一言で答えました。「最悪」