2004年8月3日(火)「しんぶん赤旗」
参院選後、初の論戦となった二日の衆院本会議で、日本共産党の志位和夫委員長は年金、消費税、イラク、憲法などの問題で小泉純一郎首相の姿勢を追及しました。他党との質問もあわせポイントを紹介すると――。
年 金 |
年金問題で志位氏は、参院選で示された改悪年金法「ノー」の審判や、選挙後の世論調査でも八割がやり直しを求めていることを指摘。連続負担増と給付減の押しつけやデータ隠しなどで国民の信頼を裏切ってきた結果だとのべました。
年金制度で一番大切なものは「国民の信頼」だと強調した志位氏は、民意を厳粛に受け止めて改悪年金法を白紙撤回し、「国会と国民の知恵を結集して誰もが安心できる年金制度をつくるべきだ」と主張しました。
小泉首相は改悪年金法について「給付と負担の均衡を確保する課題に真正面に取り組んだもので、政府として施行に向けた準備を進めたい」と答弁しました。
自民党の中山成彬議員は改悪年金法を「批判は覚悟の上で成立させた」と開き直りました。民主党の岡田克也代表は、改悪年金法の廃止を求める一方で、消費税増税に道を開く自民、公明との「三党合意」に基づき「国会に小委員会を設けて議論するのは必要なことだ」とのべました。
消費税 |
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細田博之官房長官が「与野党協議で引き上げの合意ができれば三年後施行もありうる」と言及するなど、二〇〇七年度実施をメドにした消費税増税が重大問題となっています。
志位氏は「この税金を引き上げることが国民にどんな痛みと苦しみをもたらすかについてあまりにも無感覚だ」と批判。月額五万円の国民年金で暮らしているお年寄りでは、年収が六十万円なのに消費税負担が一カ月分の年金収入に当たる約五万円になることなどを示し「“福祉のため”という口実で福祉を破壊する消費税を引き上げることは本末転倒もはなはだしい」とのべました。
小泉首相は「あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合い、社会保障などのサービスを安定的に支えるため重要な税だ」とのべ、〇七年度に消費税増税を含む抜本的改革を行うとした与党税制大綱の既定路線通りに進めることを表明しました。
志位氏は、公共事業費や軍事費にメスを入れ、大企業に世間並みの負担責任を果たさせるなど、歳出と歳入のゆがみを土台から改めることで、消費税に頼らず安心できる社会保障を築けるとの改革の提案を示しました。
民主党の岡田克也代表は「将来の消費税引き上げは避けられない」と同党の主張を繰り返し、小泉首相が任期中に消費税増税を決定しないのは無責任だと増税をあおりました。
イラク、憲法 |
志位氏は、「小泉首相がこの三年間とってきた外交政策は、『日米同盟』を国の行動の最高の基準にするというものだ」と指摘。イラク戦争支持も、イラクへの自衛隊派兵も、多国籍軍への参加も「日米同盟のため」の一言でゴリ押ししてきた小泉首相の姿勢を批判しました。
そのうえで、参院選中の「集団的自衛権の行使のために改憲が必要だ」とのべた首相発言を追及。(1)「集団的自衛権」とは、日本が攻撃されなくても、米国が戦争をはじめればともにたたかうことであり、九条改定は日本を「米国とともに海外で戦争をする国」につくりかえることではないか(2)米国がおこなっている戦争は、国連憲章が禁止する先制攻撃の戦争ではないか―とのべました。
アーミテージ米国務副長官が「憲法九条は日米同盟の妨げ」とのべたことをひき、「二十一世紀の日本がなくすべきは憲法九条ではなく、異常な米国いいなり政治の根源にある日米安保条約だ」と強調しました。
小泉首相は、「『世界の中の日米同盟』をいっそう強化する方針だ」とのべ、集団的自衛権について「便宜的な(憲法)解釈の変更ではなく、今後正面から憲法改正を議論することにより、解決を図ろうとするのが筋だ」と改憲に踏みこんだ答弁をしました。
自民党の中山成彬議員はイラク派兵について、「国際社会の責任ある一員として引き続き人道復興支援をしっかりおこなっていく」「撤退はやってはならない」と強調。民主党の岡田克也代表は、「多国籍軍への自衛隊参加に対し、総理は国会や国民にたいして説明責任を果たしていない」と批判しました。
「憲法9条は日米同盟の妨げの一つになっている」(7月21日、自民党の中川秀直国対委員長らとの会談)
「集団的自衛を日本が禁止していることは、(日米)同盟協力の制約になっている」(2000年10月11日「アーミテージ報告」)
日歯連 |
「政治とカネ」の問題で焦点となっている日本歯科医師連盟(日歯連)からの政治資金疑惑。志位氏は第一に、橋本元首相への一億円のヤミ献金問題は一議員の問題ですまされないと指摘。「何のためのヤミ献金か、何に使われたのか。総理・総裁として、責任をもって調査し、国民と国会に報告すべきではないか」とただしました。首相は「捜査中。見守りたい」と答えるだけでした。
第二は、日歯連から自民党への巨額の献金の原資が、国民が払っている医療費、医療保険料だという問題です。志位氏は「国民には医療費の値上げなど、耐え難い『痛み』をおしつけながら、自分たちは医療費や保険料から献金という甘い汁を吸って恥じない――この態度はとうてい国民の理解を得られるものではない」と痛烈に批判。国民の保険料などを原資とする企業・団体からの献金の受け取りを速やかに中止するよう求めました。