日本共産党

2004年8月6日(金)「しんぶん赤旗」

改悪年金法廃止法案

衆院厚生労働委での山口議員の質問

(詳報)


 改悪年金法廃止法案(民主党提出)は、五日の衆院本会議で自民、公明の反対多数で否決されました。「国民の支持がなくても、やらなくてはならないことをやるのが政治の責任」(自民・大野功統議員)と無反省の自公連合にたいし、四日の衆院厚生労働委員会で日本共産党の山口富男議員は「改悪年金法の撤回が国民のなかで多数派」であり、この声にこたえるのが政治の責任だと廃止を求めました。

世論調査も8割がやり直し要求廃止の一点で民主案に賛成

 山口氏は、改悪年金法に、長期にわたる保険料引き上げと給付削減がもりこまれたことで「年金の空洞化をすすめ、憲法の生存権すら侵害する」と指摘。参院選挙後の世論調査でも、改悪年金法の撤回、やり直しを求める声が多数となっていることを示しました。「この声にどう応えるかが立法府の最大のテーマだ」と強調し、「廃止を求めるという一点で民主党提出法に賛成する」とのべました。

 民主法案には、付則で消費税増税に道を開く「三党合意」がそのまま盛り込まれています。山口氏は、「消費税増税の国民の合意はない」「この点は同意できない」とことわりました。

保険料と給付水準のごまかし示した2枚の政府追加資料

 山口氏は、公的年金制度で一番大切になるのは「国民の信頼だ」と指摘。法案強行後も、国民の不信と不安を広げていることが相次いで信頼を傷つけている、と強調しました。

 一点目は、厚生労働省のPRパンフレットに成立後に挟みこまれた二枚の追加資料。一枚は、国民年金の保険料の上昇は「極力抑え、将来水準は固定します」と説明する資料です。現行月額一万三千三百円が十三年後の二〇一七年で固定し、以後ずっと一万六千九百円で変わらないというのが従来の説明です。それを追加資料で、固定後も「(保険料の)額は今後の賃金上昇の状況に応じて変化するものである」と訂正しました。

 「固定されるのでなく、賃金上昇に応じて引き上げられるということですね」と確認を求めた山口氏。厚労省の渡辺芳樹年金局長は「資料に平成十六年度価格と書いて(上がることを)明記していた。よりていねいに説明した」と弁解。山口氏は、その部分の説明が小さな字でほとんど見えないように書いていたことを示し、「法案の国会審議では固定されるようにいってきたから、やり直せという国民の声が上がっているのではないか」と指摘すると委員会室に拍手がおきました。

 もう一枚は厚生年金の給付水準の追加資料です。現役世代の平均所得(モデル世帯)の50%給付を保障しますという条文が改悪法に盛り込まれていますが、「現役世代の所得に対する比率は下がっていくことになります」と訂正されました。

 山口氏は、自分と同じ一九五四年生まれの給付水準は、厚生労働省資料(給付額見通し)によると受給開始から十年後(二〇一九年)に45・2%、二十年後は40・4%にさがると紹介。「五割どころか四割にガクンと落ちる」と示しました。

 坂口力厚労相は「その時の若い人の賃金と比較すれば率は下がっていくことになる」と居直りました。

 二枚の追加資料について山口氏は「追加の説明というより当初の制度説明と違っていたということの何よりの証明だ」とのべると、委員会室に「そうだ」の声があがりました。

条文ミス40カ所の訂正を2枚の官報ですます

 さらに国民の信頼を傷つけたのが四十カ所におよぶ条文ミス。この日の審議で自民・宮澤洋一議員は「電話帳のような政府案を最初から最後まで読み通したが、一カ所も(ミスを)発見できなかった」とのべるだけで、反省はまったくありません。政府は、二枚の訂正表を官報に載せてすませていました。

 山口氏は、条文の担当者が「改めるところばかりに目がいったために、全体の整合性をはかる時間的余裕がなかった」と話していたことを紹介。それを十分な審議時間も保障せず採決を強行したというのが法案審議の実態だったと指摘し、「白紙に戻して民意に沿う形で議論をやり直せ」と求めました。



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