2004年8月6日(金)「しんぶん赤旗」
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米軍主導のイラク戦争が始まった二〇〇三年三月から同年十月までのイラク市民の犠牲者は三万七千人以上だとする報告がこのほど明らかになりました。「人民抵抗闘争」というイラクの政治組織による調査を中東のテレビ局アルジャジーラが英語版ホームページに掲載したもの。調査対象はイラク人民間人のみで、イラク人兵士や民兵は含まれていません。
この組織の副書記長で、英国に居住する生理学教授ムハンマド・アルウバイディ氏は、アルジャジーラに対し「三万七千という死亡者数には、われわれは百パーセント確信を持っている」と述べました。同氏は、「調査のためにどんなへき地にも行き、イラク中の墓掘り人に協力してもらい、病院から情報をもらい、また米軍の発砲で市民が殺された現場を見た数千の証人から話を聞きました」と語りました。
同報告は、イラク各州における死亡者数の内訳も公表しています(別表参照)。
同組織によると、調査活動は〇三年十月に調査員の一人がクルド人民兵に捕まり、米軍に引き渡されて以来中断しているといいます。この調査員の消息は不明です。
政治評論家のリカ・マキ氏は、バグダッドでは、イラク政府職員が死者数に関する情報を公表することを禁止されていることは広く知られていることだと指摘し、「数カ月前、検視局長が、一日に七十体の死体が運び込まれると公表し、懲戒処分を受け、死体数に関するいかなる情報も公表することを禁ずる政府の声明が出された」と語ります。
これまで、戦争犠牲者を数える試みとしては唯一「イラク・ボディ・カウント」があります。これは米英の研究者が行っているもので、これによると、イラク市民の死者数は一万一千から一万三千に達しています。