日本共産党

2004年8月7日(土)「しんぶん赤旗」

臨時国会から見えたもの

与党 際立つ民意無視

民主党 増税、改憲で同じ土俵


 六日閉会した第百六十臨時国会は、八日間という短い会期のなかでも各党の姿勢が浮き彫りになりました。

 臨時国会では、参院選で「ノー」の審判が下された改悪年金法や、イラク多国籍軍への自衛隊参加問題をはじめ、日本歯科医師連盟のヤミ献金疑惑の解明も問われました。

悪政の押しつけ

 ところが与党は、暮らしでも平和の問題でも、国民の願いに逆らう姿勢を際立たせました。

 成立後も四十カ所にのぼる条文ミスが発覚するなど実施の前提が崩れている改悪年金法を廃止する法案(民主党提出)を、衆院のみでわずか一日の審議だけで否決してしまいました。

 参院選敗北で自民党内からも「総理の人生いろいろ、会社もいろいろ発言は国民の反発を買った」(常田享詳参院議員)との声も出ましたが、「民意にそぐわなくてもやらなきゃならないことはやらなきゃならない」(同大野功統衆院議員)と悪政押しつけの姿勢は変わりません。

 小泉首相は、米国に追随して多国籍軍参加まで決めたことに反省もなく「撤退させる考えはない」とにべもありませんでした。それどころか、参院選中に続いて、「正面から憲法改正を論議することで解決を図るのが筋」とのべ、改憲による集団的自衛権行使に踏み込む姿勢を示しました。

自公と競い合い

 民主党は、改悪年金法の廃止法案を提出し、多国籍軍参加も「憲法上疑義がある」と主張しました。

 しかし、与党が「社会保障の財源」を口実に消費税増税をねらうなか、「将来の消費税引き上げを決定しないとの前提では抜本的な年金制度の改革論議はできない」(岡田克也代表)と同じ立場から増税をあおりました。

 憲法問題ではどうか。

 岡田代表が「憲法を改正して国連安保理の明確な決議がある場合に武力行使を可能に」すべきだと訪米先でのべたのに続いて、自公民三党がそれぞれの改憲論を主張した憲法調査会では「前向きの改憲論」(枝野幸男衆院議員)と称して九条改憲論を展開。「二大政党」で改憲を促進しあう姿勢を浮かびあがらせました。

「二大政党」に対抗

 日本共産党は民意にこたえて改悪年金法の廃止を求め、「福祉のためといって福祉破壊の消費税を引き上げることは本末転倒」(志位和夫委員長)と、消費税に頼らないで安心できる社会保障を築く改革を提案しました。

 憲法問題では、九条改定が日本を「米国とともに海外で戦争をする国」に変えることだと批判し、「二十一世紀の日本がなくすべきは九条ではなく日米安保条約だ」と強調しました。

 消費税増税と憲法改定への衝動を強める「二大政党」に対抗して国民本位の新しい政治の流れがあることを示しました。

 参院で少数会派の発言・議会活動をどう保障するかも焦点でした。参院選後初めての論戦となった参院本会議で、四百三十六万の比例票を得た日本共産党と、二百九十九万票の社民党が質問できず、議院の運営について協議する議院運営委員会も自民、民主、公明だけでおこなわれました。

 これは「十人」で線引きするルールがあるためですが、五十年も前にできた参院にしかない特異な決定です。小会派の議会運営関与や質疑権保障を議論してきた参院改革の流れから見ても、真っ先に見直すべきです。次の国会で真剣な検討が求められています。

 深山直人記者



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