2004年8月7日(土)「しんぶん赤旗」
(問い)ラテンアメリカで新しい変革の波が起きているといいます。その変革はどういう特徴があるのですか?(大阪 一読者)
(答え) ラテンアメリカは「米国の裏庭」とよばれています。米国がこの地域を自分の領地や勢力圏のように考えて、支配と干渉を繰り返してきたからです。
そのラテンアメリカにこの数年、外交でも経済政策でも自主的な立場をとる政権が次々と生まれています。
ベネズエラでは1998年の大統領選挙で、真の民主化と貧者の救済を掲げたチャベス候補が勝利しました。チャベス政権は、それまでの米国べったりの外交を転換して改革にのりだしました。改革に反対する特権富裕層は米国を後ろ盾にして二度もクーデターをおこしましたが、多数の国民が立ち上がって失敗させました。
続いてボリビアやエクアドルでも米国追随の政権が選挙で敗れ、政権交代しました。さらに昨年はブラジルとアルゼンチンで貧困の一掃や国民本位の政治をかかげる政権が誕生しました。新政権は互いに協力して米国の経済支配に対抗する方策を模索しています。
これらの変化はいずれも選挙を通じておこなわれ、民主主義的な転換というのが特徴です。
かつてラテンアメリカではグアテマラやニカラグア、ペルーやチリなどで革新的な政権が生まれました。それらの革命はチリを除いて独裁政権にたいする武装闘争やクーデターという形態をとりました。そういう背景もあってキューバ以外はいずれも米国の軍事介入やクーデターで転覆させられました。
これにたいし今の変革は、選挙による多数者の意思の確認にもとづいているのが特徴です。たとえばベネズエラでは政権発足後の2年間に7回もの国政選挙や国民投票をおこなっています。政権交代が各国で連続して起きていることに加えて、国民多数の支持をえた変革の強さを示しています。 (靖)
〔2004・8・7(土)〕