日本共産党

2004年8月8日(日)「しんぶん赤旗」

改憲「タブー視せず」

公民教科書で「問題提起」

「つくる会」が新訂版ポイント

自衛隊不可欠/ジェンダー・フリーは「特殊思想」


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文部科学省に申請している公民教科書の元となる現行版「新しい公民教科書」(右)と大日本帝国憲法(明治憲法)の項目

 来年、中学校で使う教科書の採択を前に、文部科学省に申請されている「新しい歴史教科書をつくる会」の公民教科書(新訂版)=扶桑社=のポイントがわかりました。同会会報『史(ふみ)』(七月号)で明らかにしたもの。現行憲法の「問題点」を提示、「タブー視」せずに子どもたちに「憲法改正問題」を提起する――などと誇示しています。

 「つくる会」の現行版の歴史、公民教科書については、東京都教育委員会がこの八月、中高一貫の都立白鴎高校付属中学校で採択することをねらっています。同会はさらに来年、全国の中学校での採択をねらい、新訂版を申請中です。

 新訂版公民教科書の執筆者、高崎経済大学助教授の八木秀次氏(つくる会理事)は、会報のなかで八つのポイントを説明しています。

 これによると、これまでの公民教科書は明治憲法を「天皇制絶対主義」と位置付け、「明治憲法を一方的に悪者として」描いていると批判。新訂版は「明治憲法と日本国憲法を対比させ、どちらかが一方的に優れているという構図は採用していません」などとしています。現行憲法については「さまざまな問題点を包み隠さず提示」し、「政治日程にのぼりつつある憲法改正の問題についても、タブー視することなく子供たちにわかりやすい形で」提起した――としています。

 また、自衛隊は「不可欠な存在」、天皇は「我が国の歴史の始まりとともに存在した」などとその「意義」を説き、「男女のあり方」についても、他の教科書は「ジェンダー・フリー(本紙注=社会的文化的性差別をなくすこと)という特殊な思想を盛り込んでいる」と攻撃。「家族の絆を断ち切り、日本の文化や人類の文明を根底からひっくり返す」ような思想と「一線」を画したと宣伝しています。

 これらは、現行憲法の理念を否定するもので、侵略戦争を美化する歴史教科書と軌を一にしています。

 「つくる会」による東京の教科書採択の動きなどには、「子どもと教科書全国ネット21」など七十を超える広範な市民団体が反対、運動が広がっています。


 新しい歴史教科書をつくる会 1997年1月、歴史教科書攻撃を始めた学者グループが中心となって結成。独自に作った中学校社会科教科書(歴史、公民)を作り、採択させる運動を続けています。この運動は、自民党国会議員による「日本の前途と歴史教科書を考える議員の会」や自民党、民主党の議員らが参加する「超党派議連・歴史教科書問題を考える会」なども支援しています。



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