2004年8月12日(木)「しんぶん赤旗」
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自衛隊が米国の諜報機関・国家安全保障局(NSA)の暗号学校に、「通信保全」研修のため隊員を派遣していたことが分かりました。NSAへの隊員派遣は「(米)国と軍の最も機密度の高い分野で委託教育されるところまできている」(元自衛隊幹部)ことを意味し、日米軍事一体化の深まりを示しています。
NSAは、一九五七年ころまでは存在さえ隠されてきた極めて秘密度が高いスパイ機関で、世界各国の通信の盗聴・解読が任務です。
本紙の情報公開請求で自衛隊統合幕僚会議が開示した内部資料「統合幕僚会議業務計画実施状況報告書」(二〇〇一年度版、〇二年度版)に記載がありました。報告書は、統幕の一年間の活動結果を防衛庁長官に報告したものです。
それによると、研修を受けたのは、両年度とも統幕第三幕僚室の通信電子室と陸海空三自衛隊幕僚監部の隊員五人。「通信保全要員の米国委託教育」として、米太平洋軍司令部など複数の研修先が記され、その中にNSA暗号学校が含まれていました。
派遣時期は〇一年十一月二十九日〜十二月十二日と〇二年十一月三十日〜十二月十五日。研修内容は「通信保全課程受講」で、報告書は「米国の通信保全に関する専門教育を履修させ、基幹要員の育成に寄与することができた」と評価しています。元自衛隊幹部は「暗号の作成、解読、保全についての原理、原則を勉強すると思われる」と指摘しています。
防衛庁は、本紙の取材に対し、NSA暗号学校での研修は一九九三年度から行っていたことを明らかにしました。
米国家安全保障局 一九五二年設立され、米メリーランド州に置かれています。予算や人員の規模は明らかにされていません。世界中に通信傍受基地を張り巡らし、日本では三沢(青森県)や沖縄の基地が拠点。傍受した情報を、秘密協定を結んだ国と共有するシステム(エシュロン)も持っています。昨年のイラク戦争開戦前に国連安全保障理事国の通信を盗聴していたことが発覚しています。