2004年8月13日(金)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは、米軍が十二日未明、イラク中南部のクートに空爆を加え、イラク人七十五人が死亡、百五十人以上が負傷したと伝えました。米軍は同日、中南部のイスラム教シーア派聖地ナジャフで同派にとって最も神聖なアリ廟(びょう)をも標的にした全面攻撃を開始。イラク保健省は同日、過去二十四時間におけるイラク各地の戦闘で百六十五人が死亡、六百人近くが負傷したことを明らかにしています。
現地からの報道によると、海兵隊約二千人を中心にナジャフを包囲していた米軍とイラク治安部隊は十二日午前、民兵が潜伏しているとするアリ廟の周辺道路を封鎖。同軍は戦車と武装ヘリ数機を展開させ攻撃、アリ廟周辺の複数の場所から大きな黒煙が上空に立ち上りました。市中心部からは住民数千人が避難したもようです。
クートへの爆撃も「民兵掃討」を口実としたもので、空爆は二時間続いたといい、十八軒の家屋が破壊され、死傷者の多くは女性や子どもだったといいます。
ナジャフの攻撃では、十一日にイラク暫定政府のジャファリ副大統領が米軍の撤退を要求。十二日にはナジャフのクライシ副市長が「米軍によるテロ作戦」と抗議して辞任を表明するなど、米軍にたいする批判はかつてなく高まっています。十一日にはイラク南部各地で米軍とこれを支持する暫定政府に抗議するデモが繰り広げられましたが、十二日には首都バグダッドにも広がりました。