2004年8月14日(土)「しんぶん赤旗」
パウエル米国務長官が十二日、日本が国連安保理常任理事国入りするには「憲法九条の再検討が必要」と語ったことは、米政府の外交責任者が露骨に改憲を日本に迫る、重大な内政干渉行為です。
発言は、アーミテージ米国務副長官が中川秀直自民党国対委員長との会談(七月二十一日)で示した「憲法九条は日米同盟関係の妨げの一つ」との見解を支持したものです。この時、アーミテージ副長官は「常任理事国は国際的利益のために軍事力を展開しなければならない役割がある」とも語っていました。
国連憲章は、常任理事国に、加盟国が提供した兵力の「戦略的指導」を行う軍事参謀委員会に参加することを義務付けています。日本が常任理事国入りすれば、憲法九条が禁止する武力行使に責任を負うことになります。ひいては国連への軍事力の提供、武力行使への直接参加も避けがたいものになります。
パウエル長官の発言の狙いが、九条改憲によって日本に海外での武力行使を認めさせるところにあるのは明白です。
長官が日本の憲法をめぐり、これほど踏み込んだ発言をしたことはありませんでした。
訪米した岡田克也民主党代表が憲法を改定し、国連安保理の決議がある場合には海外での武力行使を可能にすると表明(七月二十九日)。今月五日の衆院憲法調査会では、自民、公明、民主の三党が九条改定を中心とした改憲案を示しました。長官の発言は、こうした日本国内の動きをにらんだものといえます。
榎本 好孝記者