2004年8月14日(土)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】イラク駐留米軍は十三日もイラク中南部のイスラム教シーア派聖地ナジャフで同派指導者ムクタダ・サドル師支持民兵の壊滅をめざした全面攻撃を継続。サドル師報道官は同師が十三日早朝、米軍の攻撃で負傷したと発表しましたが、イラク暫定政府のナキーブ内相はこれを否定、同師は無傷で、アリ廟(びょう)からの退去に向けた交渉を進めているとのべました。
米軍は十二日から始まったナジャフ全面攻撃に、海兵隊を中心に数千人の部隊を投入。アリ廟周辺を封鎖するとともに、アパッチ型攻撃ヘリコプターや戦車で共同墓地などを集中攻撃し、五百ポンド爆弾も投下しました。
米軍の攻撃は学校や病院付近にも及びました。米軍はサドル師の自宅にも突入しましたが、同師は不在でした。イラク人の死傷者は不明ですが、戦闘では米兵一人が死亡しました。
イラク暫定政府のアラウィ首相は十二日、声明で民兵に武器を捨てナジャフから撤退するようあらためて要求しましたが、イラク全土で米軍と暫定政府を非難する声が急速に高まっています。
イラク南部のディワニヤ、サマワ、中部クーファ、首都バグダッドの各都市では十三日、数千人がナジャフ攻撃に抗議するデモを行いました。スンニ派住民が多数派の中部ファルージャでも同日、約三千人の住民がデモに繰り出し、サドル師の写真を掲げるとともに「ファルージャは米軍とたたかうナジャフの味方だ」などの声を上げました。南部バスラでは十二日、約五千人の住民がデモを行い、米軍のナジャフ撤退を要求、米軍に協力しているとしてアラウィ首相を糾弾しました。
南部アマラでは十二日、イラク国家警備隊数百人が、米軍がナジャフから撤退するまで民兵側に加わると宣言。ナジャフでは州評議会の委員十六人が、米軍の軍事作戦に抗議して委員の資格を自主的に停止すると表明しました。
人口の六割を占めるイラクのシーア派の最高権威、アリ・シスタニ師は十二日、病気入院中のロンドンから声明を発表。ナジャフ全面攻撃に「深い悲しみと懸念」を表明し、即時停戦を訴えました。