2004年8月14日(土)「しんぶん赤旗」
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「もうダメだ。おれの上に落ちる」―。カーショップを経営する中村健一さん(35)が頭を抱えてうずくまった瞬間、爆発音とともに、約十五メートル離れた沖縄国際大学から火の手が上がるのが見えました。隣接する自宅に必死で戻り家族の無事を確認しましたが、爆風で大学に面している窓ガラスが割れていました。
現場から約三十メートルしか離れていないマンションで墜落の瞬間を見ていた中学三年生の木村なつみさん(15)は、上空で金属が擦れる音が聞こえて異変を感じました。ベランダから外に目をやると、ヘリから部品が飛んでいくのが見え、「マンションに落ちる」と思い足が震えました。
木村さんは午前中、沖縄国際大学のグラウンドを借りて陸上の練習をしていました。「いっしょにいた学生の人たちが事故に巻き込まれていないか心配です」と話したところで声を詰まらせ、「もう基地の近くには住めない」とあふれそうな涙を手で押さえました。
大学には、部活動や集中講義などで多くの学生が登校していました。
事故当時、ヘリが墜落した一号館から二棟離れた五号館のロビーで、友人と話していた女子学生(21)は「自宅に帰るときに事故現場の近くを通るので、ここでおしゃべりをしていなかったら、事故に巻き込まれていたかもしれませんでした。墜落するのがあと少しずれていれば、多くの学生が犠牲になったかもしれないですね」と興奮気味に話していました。
沖縄国際大学の渡久地朝明学長は十三日夕、自身を本部長とする緊急対策本部を設置するとともに、「今回の事故に強く抗議する。このようなことが二度と起こらないよう速やかに原因を究明し、直ちに必要な対策を取ることを要求する」との緊急声明を出しました。