2004年8月16日(月)「しんぶん赤旗」
テロ特措法に基づきインド洋で洋上給油活動を行っている海上自衛隊艦隊が昨年末、イラク占領作戦を任務にした米強襲揚陸艦などに燃料を提供していたことが分かりました。テロ特措法はアフガニスタンを中心にした対テロ戦争への支援が目的で、イラク占領への支援は対象外。法の適用範囲を逸脱した行為です。
米海軍のホームページや中東を担当する米第五艦隊の機関紙などによると、給油を行った海自艦船は補給艦「ときわ」。昨年十二月五日、北アラビア海で、米強襲揚陸艦ペリリュー、ドック型揚陸艦ジャーマンタウン、ミサイル巡洋艦ポートロイヤルの三隻に航空燃料を提供しました。
三隻はいずれも米海軍が先制攻撃戦略を具体化するため初めて編成した「第一遠征攻撃群」(ESG1)に所属する艦船。米海軍のホームページは「ときわ」から給油を受けた際、ESG1は「『イラクの自由作戦』と『不朽の自由作戦』を支援するため展開」していたと指摘し、イラク占領作戦が任務に含まれていたことを明らかにしています。
ESG1は昨年秋から今年初めにかけて北アラビア海やペルシャ湾に展開し、海上阻止作戦を実施。強襲揚陸艦ペリリューなどに乗艦していた第一三海兵遠征隊は、イラク南部で治安維持活動を行っていました。海自艦船が米遠征攻撃群に給油するのは初めてです。
テロ特措法を逸脱した海自艦隊による米軍艦船への給油問題では、昨年二月にも「ときわ」がイラク戦争に向かう途中の米空母キティホーク戦闘群に燃料を提供し、厳しい批判を受けていました。
海兵隊を乗せて遠征出撃する強襲揚陸艦隊に、対地攻撃能力を持つ巡洋艦や駆逐艦、原子力潜水艦などを加えた部隊。米海軍は最終的に、十二の遠征攻撃群を編成する計画で、うち一つは佐世保基地(長崎県)を母港にする強襲揚陸艦エセックスが中心になります。