日本共産党

2004年8月16日(月)「しんぶん赤旗」

沖縄・大型ヘリ墜落

警察や消防の現場検証も拒む

米軍が事故現場“占領”

基地と共存不可能


写真

住宅の玄関先に落ちた、墜落した米軍ヘリの回転翼の一部=13日、沖縄県宜野湾市

 大学構内に米軍ヘリが墜落するという衝撃の事件は、あらためて県民生活と基地との共存が不可能だということを示しました。十三日の事故発生から三日、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大に墜落したヘリを、いまだに県警や市消防が現場検証も行えないなど、米軍の占領者意識丸出しの対応にも批判が高まっています。沖縄県・浅野耕世記者、本吉真希記者

 現場周辺は完全に米軍の管理下に置かれたままです。事故の被害者である大学関係者も、ヘリが接触した一号館に自由に出入りすることができません。日米地位協定では、米軍機が基地外に墜落した場合でも、事故機の管理権は米軍が持つとされています。しかし、その周辺まで規制する法的根拠はなにもありません。

 県警は十四日、日米地位協定の実施に伴う刑事特別法に基づき、現場検証への同意を在沖米軍に求めましたが、米側からの回答はいまだありません。十五日午前になって警察と市消防にのみ、事故機の撮影を許可しましたが、黒焦げになった機材に、一切触れることはできませんでした。

 事故を起こしたCH53大型輸送ヘリは、五年前にも北部訓練場(国頭村)の沖合に墜落し乗員四人が死亡、不時着や燃料タンクの落下を何度も起こすなど、老朽化が進み、重大事故の危険性が指摘されてきました。

 しかし日米政府は、住民の危険を一日も早く解消するよりも、基地機能の維持・強化を最優先して名護市への県内移設に固執し、県政もそれを容認する態度をとり続けています。危険な基地の存在を放置してきた両政府や県の基地政策が、今回の重大な事故を招いたといわざるを得ません。

 オートバイをなぎ倒す回転翼、へし折られた門扉のアーチ…。現場の状況を見たスイス人の留学生は、「永世中立国に住む人間として、市街地に他国軍のヘリが落ちるなんて考えられない。住民の怒りが熱いうちに思いをぶつけなければ。移設ではなく、撤去しかない」と語っていました。

 地元マスメディアも、「戦後五十九年、日米政府が一貫して進めてきた沖縄基地政策を問い直すことでしか、県民の暮らしは守れない」(「沖縄タイムス」十四日付)と強調。普天間基地の無条件撤去の実現は、もはや一刻の猶予も許されません。



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