2004年8月16日(月)「しんぶん赤旗」
【カイロ=小泉大介】イラク中南部のイスラム教シーア派聖地ナジャフで米軍が同派指導者ムクタダ・サドル師支持民兵の壊滅を狙って行っている軍事作戦の停戦に向け、サドル師側と暫定政府とがおこなっていた交渉が十四日決裂したことをうけ、十五日午後、戦闘が再開しました。
現地からの報道によると、ナジャフ中心部のアリ廟に隣接する共同墓地近くで十五日午後、約十回の爆発音が響いたのにつづき、銃撃戦も発生しました。戦闘再開の二時間前には、イラク警察によりナジャフのすべての報道陣に退去命令が出ていました。
決裂した交渉で暫定政府代表を務めたルバイエ国家安全保障担当顧問は十四日、「暫定政府は軍事掃討作戦を再開する」と、米軍とともにナジャフ攻撃を再開すると表明していました。一方、サドル師側近のスマイズィム師は同日、カタールの衛星テレビ・アルジャジーラで、停戦条件を全面的に受け入れたが、「アラウィ暫定政府首相がルバイエ氏に交渉打ち切りの指示をした」と述べ、暫定政府を非難しました。
アリ廟(びょう)包囲態勢を敷く米軍は、停戦崩壊をうけ前線基地に戦車などの大量配置を開始。他方、首都バグダッドなど近隣都市からはサドル師支援のため支持者が続々とナジャフにかけつけ、その数が約一万人に達するなど、極めて緊迫した状況となっています。
米軍は十四日には、イラク中部のスンニ派地域でも軍事攻撃を強化し、首都バグダッド西方約五十キロのファルージャでは、民家二棟を爆撃。現地の病院関係者によれば、イラク人八人が死亡、十人が負傷しました。死者のうち二人が子ども、二人が女性です。同地では十三日にも米軍の爆撃でイラク人六人が死亡、十一人が負傷していました。