2004年8月16日(月)「しんぶん赤旗」
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○…東京・新宿区の「平和のための戦争展」会場。特別展示の日本ボランティアセンター(JVC)協力によるイラクの子どもたちの絵や写真が「アメリカはぼくたちから、自由や幸せを奪っている」と訴えます。
元中国帰還者連絡会の小山一郎さん(84)は、中国でおこなった中国人強制連行と虐待行為を証言。耳を傾けていた調布市の阿部あゆみさん(24)は「一番驚いたのは、中国で、日本軍が村人にぬれたタオルを顔にあて、バケツ水を無理に飲ませて殺したということ」。
八王子市の大野由貴さん(23)は「戦争はやっちゃいけない。爆弾で家族や友だちを失って、つらい目にあうだけ。国同士が争いごとして何のためになるのか」と語り、憲法九条と平和の大切さをかみしめていました。
戦争展には、のべ千人が入場しました。
◯…「新憲法制定の必要性が堂々と国会で論じられるようになり、教育基本法の改正が国会で審議される日も近い」――東京・靖国神社参道の特設テントで開かれた「戦没者追悼中央集会」は、そんな声明を出し、そのための国民運動推進を呼号しました。主催は改憲運動団体の日本会議と英霊にこたえる会。
終戦を告げる、五十九年前の天皇のラジオ放送を流し、首相の靖国公式参拝を違憲とした福岡地裁判決を攻撃しました。「イラクの自衛隊に思いをはせ…」という声も。
国会議員が黒塗りの車で着くと、到着殿前に集まった人たちから「ありがとう」の声。境内には戦闘服姿の隊列や、「昭和神宮創建」「国立追悼施設反対」を求めるマイク宣伝。そんな中で参拝した神奈川県の女性(67)は、兄をニューギニアで失いました。政府主催の追悼式出席前に訪れた彼女は「敵も味方もない。戦争は悔いしか残さない」。そして「靖国を政争の具にしてほしくない。静かにお参りさせてほしいんです」と言いました。
○…東京・武道館でおこなわれた政府主催の戦没者追悼式。天皇の言葉、首相や衆参議長の式辞…と肝心の遺族を脇に追いやる運営は相変わらずですが、参列した遺族の思いは切実です。
東京・狛江市から参加した須藤歌子さん(80)は「三月十日の東京大空襲で江東区森下町の自宅にいた母を亡くし、独りぼっちになった。空襲のあと焼け跡にいったら、人が瀬戸物みたいに焼けて転がっていた。二十歳でした。ああいう思いは二度としたくない。戦争は大反対です。憲法九条があるのに自衛隊が海外にいくのはどういうことなんでしょう。九条は守ってほしい」と話します。
静岡県沼津市の渡辺清彦さん(68)は「戦争を繰り返さないために九条は守ってほしい」と、式典参加の思いを語ります。「父は終戦直前の七月一日、沖縄で戦死しました。戦争でつらい思いをしたが、そういうことがないようにしてほしい」
式典には、約五千五百人の遺族を含み七千人余が参列しました。