2004年8月18日(水)「しんぶん赤旗」
【ワシントン=遠藤誠二】ブッシュ米大統領は十六日、オハイオ州シンシナティで開かれた退役軍人の集会で演説し、欧州・アジアに展開する駐留米軍を最大七万人削減し、米本国に帰還させると発表しました。
この日の発表はブッシュ政権が進める現在の状況下での先制攻撃戦略維持のための米軍再編計画の一環です。ブッシュ大統領は、「現在の米国の戦力態勢は、ソ連の侵略から米国と同盟国を守る目的で構築されたものだ。その脅威はもはやない」「新たな脅威に備えなければならない」と述べ、再編強化の必要を強調しました。
同大統領は、「増加する戦闘能力を迅速に展開させる二十一世紀の進んだ軍事技術を取り入れ」「予期しない脅威に直ちに対処できるよう部隊と能力の一部を新しい場所に移す」と表明。六万から七万の在外米軍を削減し、米軍基地の従業員、兵士の家族ら十万人も米国に帰国させるとのべました。
ブッシュ大統領は、どの国の駐留部隊を削減するか、など内容は明らかにしませんでしたが、全体の三分の二を欧州で減らし、残りをアジアで削減するといわれています。
米政府当局者はブッシュ演説後、「アジアでは、米国の関与は今までと同様に強く、攻撃能力はむしろ今以上に強化される」と指摘。配備兵力での若干の変更はあるとしても、実質的な戦争能力を強化する構えであることを示唆しました。
在日米軍について、陸軍第一軍団司令部(ワシントン州)のキャンプ座間への移転、横田基地を拠点にする第五空軍とグアムに基地を置く第十三空軍の統合の計画などがすすめられているのはこの軍事再編の一環です。イラクとアフガニスタンに駐留する約十五万人の部隊は、今回の削減対象に含まれていません。