2004年8月18日(水)「しんぶん赤旗」
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寅 わかんねぇな。どっちかなぁ。
八 どうしたい。
寅 いやな、大きい方がいいか、小さい方がいいか。
八 なんだい、それは。
寅 「大きな政府」より「小さな政府」っていうだろ。「大きいことはいいことだ」という歌があったけど、やっぱり小さい方がいいよな。
八 なんだ、財界や小泉内閣の受け売りかい。
寅 「小さな政府」にすれば、金がかからなくていいじゃないか。
八 おまえもおっちょこちょいだね。財界や小泉内閣が「大きい」と問題にしているのは、社会保障関係なんだ。「小さくしろ」ということは、社会保障など国民生活に関連する予算を削れということになる。
寅 えっ、そうなのかい。
八 そもそも、「大きな政府」の典型はアメリカ政府だ。
寅 なんだって。財界も小泉内閣もアメリカ政府を「小さな政府」の見本のようにいっているんじゃないのかい。
八 いいか。アメリカ政府で、大きな支出は何か知っているかい。軍事費だ。予算全体の18%近く、約四千二百億ドル(約四十六兆円、二〇〇五年度)だ。イラク戦争で、ますます膨れ上がってしまって、財政赤字の要因になっている。
寅 で、何がいいてぇんだ。
八 つまりな。「大きな政府」というなら、軍事大国ほど「大きな政府」はないんだよ。
寅 なるほど。そうともいえるな。
八 よく、国は外交や安全保障、治安だけをやればいい、あとは地方にまかせればいいという議論があるだろ。この議論は結局、国は福祉などには責任をもたなくてもいいんだということになる。
寅 「福祉小国、軍事大国」ってぇのも困りものだな。
八 すでに、日本の軍事予算は五兆円。アメリカとその同盟国のなかでは、アメリカに次ぐ規模だ。
寅 そういえば、奇妙だな。「小さな政府」といいながら、大手ゼネコンが喜ぶ公共事業には随分、金を注ぎ込んできた。
八 「浪費大国」だ。いまでも、国と地方や公団を含めると日本は公共事業に四十兆円、社会保障に二十五兆円だ。社会保障が予算の中心になっているヨーロッパでは、考えられないこと。日本の場合、公費から社会保障に回るのは、ドイツやフランスの半分程度だ。
寅 そういえば、「世界一の借金王」とかいった首相がいたな。
八 「景気対策」だといって、公共事業に金を湯水のように注ぎ込んだからな。国と地方の借金は七百兆円を超す勢いだ。自分たちでは散々、ムダ遣いしておいて、金がないから社会保障を抑えろってぇのは、ふてぇ考えだ。
寅 そういえば。
八 また、なんか思い出したな。
寅 金がないないといいながら、大手銀行には三十兆円も公的資金を注ぎ込んだってぇのも納得いかねぇな。中小企業への融資が増えたのならともかくも、三年で五十兆円以上も減らしたっていうじゃねぇか。
八 まったくだ。「小さな政府」っていうがな、大企業・大手銀行や軍事にとっては「大きな政府」、国民生活にとっては「小さな政府」。これが、財界や小泉内閣が描く政府だってぇわけだ。
寅 なるほど、あやうくごまかされるところだった。
八 日本共産党がいうように、くらしと社会保障を予算の主役にすえる政府でないとな。