日本共産党

2004年8月19日(木)「しんぶん赤旗」

解説

義務教育費補助負担金の削減案

教育水準の低下や格差招く


 十八日の知事会議で批判が噴出した国庫補助負担金削減案は、国からのいくらかの税源移譲と引き換えに、住民の暮らしを支える重要な国庫補助負担金の削減を地方が自ら打ち出すものです。

 とりわけ教職員給与の半分を国が負担する義務教育費国庫負担金について、来年度から中学校分を削減し、二〇〇九年度までに全廃する方向を打ち出したことは重大です。

 同負担金は、憲法と教育基本法で定める国民の教育権を保障する重要な制度です。教育の機会均等を保障し、全国的な教育水準を確保するために国が財源保障に責任を負う制度として設けられたのです。これを廃止すれば、自治体の多くが財政難に直面しているもとで地方によっては教育予算が削られ、教育水準の低下や自治体間格差が危ぐされます。

 税源移譲しても自治体間の税収格差は避けられず、文部科学省は四十道府県では減収になると試算しています。財源不足を補うはずの地方交付税も小泉内閣の「三位一体改革」では「財源保障機能を縮小していく」としており、財源が確保される保障はありません。

 「三位一体改革」は、地方の「構造改革」と称して、いくらかの税源移譲と引き換えに、国庫補助負担金や地方交付税を大幅に削減しようと打ち出したものでした。それは、補助金削減初年度の〇四年度予算で地方への財政支出が三兆九千億円も削られ、増えた税源はわずか四千五百億円だったことに示されています。

 公共事業関連などにあるムダな補助金を削減するのは当然です。しかし補助金と一口にいっても、その多くは暮らしや福祉にかかわる国の負担金や補助金が多数を占めており、市町村をはじめ関係住民から強い反対の声があがっていたのは当然です。

 削減案では、こうした声を反映して、地方交付税で「確実に財源措置をおこなう」ことなどが、「三位一体改革」の「前提」として明記されました。これは当然のことですが、必要な補助金削減の口実にはなりません。

 義務教育費国庫負担金廃止に反対意見が相次いだように削減案は住民合意を得たものでもなく、住民の暮らしと地方財政をまもる今後のたたかいが焦点になっています。

 深山直人記者



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