2004年8月19日(木)「しんぶん赤旗」
沖縄・宜野湾市で発生した米海兵隊所属の大型輸送ヘリ墜落事故をめぐって、小泉純一郎首相が「夏休み中」を口実に県知事や宜野湾市長の面会要求を拒否。県民の強い衝撃をよそに、夏休みを楽しむ姿勢に「沖縄の現実を知るべきだ」と批判の声が高まっています。
沖縄からは十八日に伊波洋一・宜野湾市長が上京し、政府に申し入れ。十九日には稲嶺恵一県知事が同様に要請する予定です。知事、市長とも小泉首相との面談を要望していましたが、官邸側は「日程調整がつかない」などとして面談を拒否。伊波市長には、官房長官も副長官も会わず、内閣府の審議官が対応しただけでした。
「日程調整がつかない」などといいながら、小泉首相は十一日からの「夏休み」を満喫。都内のホテルで静養しながら、米軍ヘリ事故の当日は、六本木ヒルズを散策し、映画を鑑賞しました。翌日は終日、アテネ五輪をテレビ観戦。十五日には金メダルを獲得した選手に電話で祝福するパフォーマンス。十六日には歌舞伎を見物する余裕もみせ、記者団の「ご感想は」との質問に、「いつ見ても泣かされるねえ」などと答えました。
米軍ヘリ事故は、一歩間違えば大惨事になる重大事故。しかも、米軍が日米地位協定にもとづく合意議事録を根拠に、日本の警察による現場検証さえ拒否するという国家の主権にかかわる事態に発展しています。
こうした状況だけに、米側との交渉を指示したり、現地視察や現場首長との面談で現場の状況・要望を知るなど、首相としてやるべきことは山積みのはず。ところが、都内のホテルで快適に過ごしながら、「夏休み」を理由に、地元首長らと面会もしないのでは、事故のことなど眼中にないといわれても仕方ない態度です。
ちなみに小泉首相と同じ派閥の先輩・森喜朗前首相も、宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」が米原潜に追突・沈没させられた事件の際、ゴルフ・プレーをやめなかったと大きな批判をあびました。
(藤)