2004年8月20日(金)「しんぶん赤旗」
三・二兆円の国庫補助負担金削減案を決めた十八、十九日の全国知事会議(新潟市)は、採決を翌日まで持ち越すほどの激論となりました。
とくに議論になったのは、国が教職員給与の半額を負担する義務教育費国庫負担金の廃止です。廃止になると各自治体が移譲される税源を含めた予算のなかでやりくりすることになります。
「国庫負担は憲法上の要請にもとづくもの」(愛媛県)、「国が基準を決めて金を出すことで義務教育は守られている」(大分県)と反対する意見が相次ぎました。
廃止後の財源についても「(財源不足を補てんする)地方交付税は縮減され、ひん死の状態だ」(鳥取県)と、削減分をすべてカバーする保障がないことを指摘する意見が出されました。
それだけに廃止に賛成するという県でも「負担金がなくなっても財源保障がしっかりされることが大前提」(山口県)と条件を付ける知事や、「迷っている。規模が大きいだけに大変な決断になる」(奈良県)と訴える知事もいました。滋賀や佐賀県からは、二年分の削減案を定めた今回分には含めず、次期の検討課題とするよう求める意見も出されました。廃止に賛成する県からは「教育水準維持の担保として国に負担を求めるのは地方分権がなりたたない」「税源移譲という千載一遇の機会をつかむための苦汁の選択」(宮城県)という声も出されました。
公共事業関連の補助負担金の廃止について、豪雨に見舞われた各県から「災害や地すべり対策は地域住民に影響する。命にかかわるものは外すべきだ」(高知県)などの意見があいつぎました。
これに関連して、税源移譲する額について政府が削減する補助金の八割程度しか移譲しないとしていることにたいし、「廃止してもやめるわけにいかない義務的なものもある」(愛知県)として全額移譲するよう求める意見が集中。その結果、削減案では、福祉や教育にかかわる補助負担金とあわせて、災害の防止にかかわる公共事業の補助金についても「確実に十割の税源移譲を行うべき」との修正が盛り込まれました。
清水博、深山直人記者