2004年8月20日(金)「しんぶん赤旗」
ヘリ墜落事故からの一週間、沖縄県民の怒りは、高まるばかりです。
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事故直後から、県内自治体の議会では、事故の根源にある普天間基地の即時閉鎖と、日米両政府と稲嶺沖縄県政が狙う名護市辺野古沖への代替新鋭基地建設の見直しを求める決議が次々とあがっています。
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同基地を抱える宜野湾市議会では、保守系会派も含めた全会一致による決議で「辺野古沖への移設の再考を求める」と明記(十七日)。沖縄市議会では、「米軍普天間飛行場の移設前返還」を要求しました(同日)。
那覇市議会も「(普天間基地の代わりの基地を県内に建設することを定めた)SACO合意の見直しを含め検討すること」を決議しました(十八日)。
辺野古沖への新基地建設が十数年かかることから、日米両政府間の協議では、米空軍嘉手納基地への統合案もとりざたされています。同基地を抱える嘉手納町議会では、ヘリ墜落に対する抗議決議のなかで、「普天間飛行場の機能の統合を嘉手納飛行場に行わないこと」(十七日)を求めています。
日本共産党や社大党、社民党、労働組合、市民団体などでつくる「基地の県内移設に反対する県民会議」は十九日、外務省沖縄事務所や那覇防衛施設局、在沖縄米総領事館に対し、「普天間基地の無条件全面返還」を要求しました。
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県民世論の批判の矛先は、名護市辺野古沖への基地建設にあくまで固執する日本政府と稲嶺県政にもむかっています。
稲嶺知事は十九日、日本政府に対し要請行動をおこないましたが、「現実にある作業は進めながら、その中で最良の選択をする必要がある」とし、辺野古沖への建設は当然視する姿勢を示しています。
こうした弱腰の要請にもかかわらず、小泉純一郎首相は、「夏休み」を理由に知事との面談を拒否。地元紙も、「首相は、映画鑑賞に現(うつつ)を抜かしている場合だろうか」「国民の安全を守る危機管理のトップとしての、資質を疑う」(琉球新報社説、十九日付)と批判しています。
沖縄タイムスの社説(同日)は、首相の面談拒否を「夏休みで都内にいるはずの首相が会えないことに首をかしげてしまう」と批判。「SACOに固執し、危険を放置し続ければ、県、国の責任が問われよう」と強調しています。
新垣繁信沖縄県統一行動連絡会代表幹事 今度の事件は、国民に最低限保障された生存権が侵されているという問題があります。「基地のなかに沖縄がある」と私たちは表現しますが、沖縄の基地というのは県民の生存権も日本の主権も著しく侵しています。
日米安保条約にもとづいて、米軍の重要な行動を保障するための日米地位協定と日本の法体系の間には矛盾が生じています。沖縄では常に憲法より日米安保条約が優先される政治が進められている。安保条約に基づいて基地がある限りは、国民・県民が納得できる解決方法はありえない。それを今度の事件はよく示しています。
日本共産党の赤嶺政賢衆院議員、前田政明県議らは事故発生から、三十分後、現場に急行し、周辺住民らから事故の状況を聞き取り、現場周辺に散乱した事故機の回転翼の一部などを調査しました。
翌日(十四日)には、党沖縄県委員会が外務省沖縄事務所、那覇防衛施設局に対し、「市街地への米軍ヘリ墜落事件に厳重抗議し安保廃棄・基地の無条件撤去を求める申し入れ」を行いました。
十八日には党国会議員団の赤嶺衆院議員、仁比聡平参院議員が、外務省、防衛施設庁、内閣府を訪れ、沖縄全県下での米軍機の即時飛行停止、普天間基地の無条件撤去などを求めました。