2004年8月22日(日)「しんぶん赤旗」
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二十一日、佐世保に入港した原子力空母ジョン・C・ステニスに乗艦しました。強烈な照り返しが襲いかかる甲板には、最新鋭の戦闘攻撃機FA18Eスーパーホーネットをはじめ、数十機の艦載機が並んでいます。どの機体もほこりまみれで、厳しい作戦航海の真っ最中であることを感じさせました。
同空母は五月に母港・サンディエゴ(米西海岸カリフォルニア州)を出港後、アラスカでの演習を経て七月にハワイ沖で行われた環太平洋合同演習(リムパック)に参加、さらに八月十日―十四日まで沖縄沖で、空母キティホーク攻撃群などとの合同演習を行いました。これらの動きは、米海軍が七つの空母攻撃群を同時展開させる大規模演習「サマーパルス04」の一環です。さらに現在、佐世保寄港をはさんで海上自衛隊との共同演習に臨んでいます。
これらの動きには、現在行われている地球規模の米軍態勢の見直しの基本方針である「機動性」と「同盟軍との一体化」が貫かれています。
ステニス空母戦闘群のワルシュ司令官は、一連の航海はすべて、米海軍の新戦略「艦隊即応計画」(FRP)にもとづいていると説明。「広い太平洋で、起こりうる事態にどれだけスピードを持って対応できるかが決定的。即応性の向上が演習の最大目的だ」と強調しました。
その際、「他の空母戦闘群や同盟軍との相互運用性を迅速に組みたてることが重要」とのべました。現在、行われている海自との演習では、「従来のような単純な役割分担ではなく、指揮・統制や情報交換能力を高めたい」として、文字通り自衛隊と米軍が一体となって、先制攻撃をふくむ米軍の戦争に動員することを目標にあげています。
また、ワルシュ司令官は、リムパックで対潜水艦戦の比重を抜本的に高めたことを明らかにしました。同演習には海自の潜水艦も参加しており、かつてソ連封じ込めで重要な役割を果たしたといわれる日本の潜水艦の重要性が、再び高まる可能性もあります。
米軍の新戦略を実践する演習のなかでの佐世保寄港は、佐世保基地がアジア太平洋地域への出撃拠点として依然、重視されていることを示すものです。
竹下 岳記者