日本共産党

2004年8月25日(水)「しんぶん赤旗」

米軍、サドル師側に猛攻

ナジャフ聖廟めぐり戦闘最大

イラク ファルージャも空爆


 イラク駐留米軍は二十三日から二十四日にかけ、イラク中部のイスラム教シーア派聖地ナジャフのアリ廟(びょう)間近に接近。同廟に立てこもるシーア派指導者サドル師を支持する民兵マハディ軍に対し、AC130攻撃機や戦車で激しく攻撃しました。戦闘は、五日から同地で続く衝突で最大規模になりました。

米軍付き添いイラク兵展開

 マレーシアのアブドラ首相は二十三日、「状況が緩和されなければ、怒りを呼び、予測できない事態を招く」と警告。シリアのオタリ首相も二十二日、「近隣諸国に不測の事態を引き起こそうとしている」と懸念を表明しました。

 米軍は首都西方のファルージャも空爆。暫定政府高官を狙った爆弾攻撃もバグダッドで相次いで発生し、衝突はイラク各地に広がる様相もみせています。

 現地からの報道によると、米軍の攻撃でアリ廟の敷地内や同廟のあるナジャフ旧市街の建物が被弾しました。二十二日の攻撃ではアリ廟の外壁の一部も損壊。イラク内外のシーア派住民の怒りが高まっています。

 アリ廟は、イスラム教の予言者ムハンマドの娘婿でシーア派初代イマム(指導者)のアリを祭る聖廟。シーア派イスラム教徒にとって最も神聖な場所です。

 これに立てこもり軽武装で抵抗するマハディ軍に対して、米軍戦車は、アリ廟から約二百五十メートルの地点まで接近し砲撃。カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは二十三日、米軍がアリ廟そのものを攻撃していると報道しました。

 一方、米軍は二十四日早朝には、バグダッド西方約五十キロのファルージャを空爆。現地の病院関係者によると、イラク人一人が死亡し、六人が負傷しました。

 バグダッドでも同日、暫定政府のムダファル教育相とムーミン環境相を狙った自動車爆弾が爆発しました。閣僚二人は難を逃れたものの、護衛の五人が死亡。同市では二十三日夜にも、武装勢力のロケット弾攻撃で米兵一人が死亡しました。

 サドル師は、主権移譲後も続く米軍の実質的なイラク支配に反対し、同軍の撤退を要求。同師を支持するマハディ軍はアリ廟で抵抗してきました。これを包囲し攻撃を加えてきた米軍は十九日、総攻撃に向け、マハディ軍の武装解除とアリ廟撤退を求めて最後通告をしました。サドル師側は通告を拒否し、大規模衝突となりました。

 その後サドル師側は二十日、アリ廟の引き渡しをめぐりシーア派最高権威のシスタニ師事務所と交渉を進めるなど、停戦に向け歩み寄り。米軍側はこれを無視し、攻撃を続行しました。



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