2004年8月26日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落で、見直し要求が高まっている、日米地位協定とはどういうものですか。 (大阪・一読者)
〈答え〉 1960年、結ばれた「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」(日米地位協定)は、全部で28条からなる協定で、米軍に多くの特権を与えています。
主な内容は、次の三つです。
(1)基地の提供 「合衆国は…(安保条約)第6条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される」(協定2条)とし、経費については、「合衆国に負担をかけないで提供」(同24条2項)するとされています。
(2)基地の維持と円滑な運営 「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる」(同3条)とし、基地外でも、鉄道・電話・電力・港湾・空港・道路等の自由使用などの特権が保障されています。
(3)軍人・軍属などの特権 米側に有利な刑事裁判権(同17条)を保障、米兵らの犯罪が「公務執行中」の場合、米国に第一次裁判権を与え(3項)、「公務中」か否かは米指揮官が判断。日本側公訴まで被疑者を米軍のもとにおくことができ(5項)、同意なしには基地内の捜査もできません(10項a)。
しかし、米軍基地外での米側の警察権は、「合衆国軍隊の構成員の間の規律及び維持のための必要な範囲に限る」(10項b)とされ、米兵同士のけんかなどに及ぶだけです。今回のような県警の現場検証拒否の根拠にはなりえません。
日本政府は、10項bに関して「合衆国軍隊の財産について、捜索、差し押さえ、検証はしない」とする合意議事録があるとしていますが、国民の生命と安全を脅かした重大事故にかんして適用されるべきものではありません。
つまり、不当な地位協定からいっても、今回の事故で米軍が行った封鎖や検証拒否は許されないのであり、それを容認した日本政府の責任は重大です。
日本共産党は、日米地位協定の抜本改定をつよく主張しています。(喜)
〔2004・8・26(木)〕