2004年8月27日(金)「しんぶん赤旗」
東京都教育委員会は二十六日の定例会で、日本の侵略戦争を美化した「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校用歴史教科書(扶桑社発行)を二〇〇五年四月に開校する都立白鴎高校付属中学校(台東区)で使用することを採択しました。都民の強い批判を踏みにじって強行したもので、厳しい抗議と採択の撤回を求める声が上がっています。
公立中学校での「つくる会」教科書の採択は、二〇〇二年の愛媛県立中高一貫校以来二例目。都教委は〇一年八月にも、同社の中学校歴史・公民教科書を都立養護学校の一部で採択しています。
都教委はこの日、同中学で使用する十五教科の教科書採択を協議。意見が割れた教科は、最も賛成が多かった教科書を議案とすることとなり、六人の都教育委員のうち五人が推薦した「つくる会」の教科書を含む教科書選定案を、全員一致で採択しました。
「つくる会」の教科書は、日本の行った侵略戦争や植民地支配を美化し、神武東征などの神話を事実であるかのように扱うなど、歴史をわい曲する内容で、教職員、保護者、歴史研究者をはじめ、内外から批判、懸念が寄せられています。
「都立中高一貫校での『つくる会』の教科書採択を阻止する東京ネットワーク」、都立白鴎高校有志の会などは採択強行後、記者会見し、「怒りを持って抗議し、撤回を求める。〇五年に『つくる会』教科書を採択させないため、とりくみを続ける」(俵義文「子どもと教科書全国ネット21」事務局長)とのべました。