2004年8月30日(月)「しんぶん赤旗」
トラックやJRなど交通・運輸、建設とさまざまな業種の労働者を組織する建交労(全日本建設交運一般労組)は二十八日から三日間の日程で、第六回定期大会を静岡県伊東市で開きました。
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坂田晋作委員長は、自民、民主の「二大政党」が憲法改悪と消費税増税をねらう事態のもとで、失業と貧困、戦争に一貫して反対してきた闘争の歴史を持つ建交労が「失業と貧困、戦争に反対する建交労九条の会」を結成し、憲法を正面に据え、すべての分野のたたかいを展開する意義を強調。憲法を生かして日本のすすむべき道を切り開こうと訴えました。
千四十七人の労働者が解雇撤回とJRへの復帰を求めている国鉄闘争にふれ、当事者組合の共同なくして事態を打開することはできないとして、「公正な補償」「納得いく解決」を日本政府に求めたILO(国際労働機関)勧告にもとづく早期解決へ要求をまとめ、統一した交渉体制の確立や政府交渉をすすめていくことをよびかけました。
討論では、北海道の青年代議員は、ハリウッド映画やテレビゲームで育ってきた若者は必ずしも憲法改悪に「反対」とはならず、改悪されたら一番被害を受ける世代だとわかる創意工夫をこらした学習が必要ではないかと指摘。道内での労組青年部で活動している経験から、地域でのとりくみも単独では運動が盛りあがってはこない、建交労が積極的にかかわっていく大切さを痛感しているとのべました。
全動労争議団員で北海道本部の特別代議員は、裁判官の意見が三対二と分かれた昨年暮れの最高裁判決が、改めて政府の責任でJR採用差別事件の解決をはかる重要性をはっきり認めたと強調。今年六月のILO勧告でも、たたかう相手が明確になり、長期闘争で困難はあるが、共同をさらに広げ、勝利までたたかい抜きたいとのべ、拍手に包まれました。
各地の代議員が、二十三日に東京で開いた国労との初の共同集会を機に、共同行動を広げるとの決意をのべました。
「じん肺根絶」と「国鉄」の二大闘争の署名を断固推進したいとの発言も目立ちました。
建交労鉄道本部の代議員は、下請け関連会社の人減らしで作業が遅れ、工場で超過勤務が発生したことに言及。職場の分会が「安全軽視や作業の遅れを引き起こす要員削減やめろ」と宣伝すると、要員が補充され、関連労働者が「よくいってくれた」と感謝の手紙を寄せたと報告しました。
福岡県本部の代議員からは、長時間過密労働がまん延していた職場で労働組合を結成した経験を紹介。労働者が「建交労に入ってよかった。おれたちはこの仕事が好きだから、続けていきたい」と経営危機への不安をのべたことに対し、経営者にも建交労の中小企業政策を話して理解をしてもらっていると語り、賃金・労働条件改善と経営改善を一体ですすめていくと表明しました。
正規雇用からの置きかえで増大するパートや派遣、契約社員など不安定雇用労働者の要求をくみあげ、全国一律最低賃金制の確立など賃金底上げのたたかいを重視したいとの発言もありました。
大会では、全労連の熊谷金道議長、日本共産党の小池晃参院議員が来賓あいさつしました。国労の酒田充委員長のメッセージが紹介されました。
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通信労組(通信産業労働組合)は、第二十八回定期大会を二十八日から大阪市内で開いています。三日間の日程です。二十九日は討論をおこない、NTTリストラによって遠隔地に配転された労働者、地域子会社に移った労働者の実情とたたかいが活発に交流されました。
愛知の代議員は、介護を必要とする家族がいるのに大阪から名古屋に配転させられた二人の組合員を大阪に戻した取り組みを報告。街頭宣伝、要請はがき運動、日本共産党の国会での追及など、「世論に訴え、NTTを社会的に包囲することで、あまりにも非人道的なやり方を撤回させた」とのべました。
神奈川の代議員は、地域子会社の労働者の要求をとりあげた活動を報告。会社が労働者に、勤務時間外の訪問活動で一人五件の新サービスの顧客を増やすよう強要したのを、団体交渉で労基法違反と追及し撤回させたとのべました。
福岡の代議員は、五十歳未満でも大阪や名古屋に出向させられるケースが多発するなか、「俺は残りたい」という人や、組合のホームページにメールを寄せた人と、家族も交えて話し合うなか、四十歳代の労働者が次々に通信労組に加入し、一年間で八人の組合員を迎えたと報告しました。
大会一日目の二十八日、岩崎俊委員長はあいさつで、憲法九条を守るたたかいを第一義的課題としてとりくむことを呼びかけるとともに、NTTが大リストラを強行し二〇〇三年度連結決算で経常利益一兆五千二百七十三億円をあげていることを告発。「社会的にNTTを包囲する行動を強めよう」と訴えました。
運動方針案では、この秋にも提案されようとしている新たなリストラ「合理化」計画とのたたかいや、地域子会社労働者の賃金・労働条件向上にとりくむとしています。
「退職・賃下げ再雇用」に応じなかった労働者に単身赴任や長距離通勤を強いているNTTを、裁判闘争を含む社会的な批判で包囲していくことを強調しています。
全労連の寺間誠治常任幹事、日本共産党の宮本岳志前参院議員、「NTTリストラ裁判弁護団」の河村武信弁護士らが来賓あいさつしました。
NTTリストラ NTTは、満五十歳以上の労働者に“NTTを退職して基本賃金三割ダウンで地域子会社に再雇用に応じよ、さもなければ異職種全国どこでも配転する”と強要。地域子会社への再雇用に応じなかった労働者を、見せしめとして、これまでの仕事とはまったく違う仕事につけ、遠隔地に配転しています。 |