2004年9月1日(水)「しんぶん赤旗」
防衛庁は三十一日、二〇〇五年度軍事費(防衛関係費)の概算要求を決定しました。総額は、四兆九千六百一億円(〇四年度予算比で五百七十一億円増)。陸海空三自衛隊の本格的な統合運用態勢への移行など、海外派兵型軍隊への体制転換を狙う内容です。
〇五年度は、政府・防衛庁が海外派兵のいっそうの推進を目的に年内の策定を目指す新「防衛計画の大綱」の初年度にあたります。今回の概算要求は、新防衛大綱を先取りし、具体化の一歩となるものです。
これまで個別の指揮系統で運用されてきた三自衛隊の調整をはかっていた統合幕僚会議を廃止。防衛庁長官を補佐し、三自衛隊の運用を一元的に担う「統合幕僚監部」(仮称)の創設を計画しています。日米共同作戦や海外での活動をいっそう効果的に推進するのが狙いです。
陸上自衛隊は、「国際活動教育隊」の新設を準備(二十一億円)。航空機の「国際任務に対応させるための機体改修」も計画しています。海上自衛隊は、「国際活動等の円滑な遂行に資する」ことを目的に、「衛星通信ネットワークの再構築」を計画。海外で活動する艦船の通信能力の向上を狙っています。航空自衛隊は、四機目の空中給油機(KC767)一機(二百五十五億円)を調達します。
米国の先制攻撃戦略を補完する「ミサイル防衛」システムでは、〇四年度より35%増となる千四百四十二億円(三百七十四億円増)を計上。海上発射型ミサイル(SM3)の発射試験(六十一億円)を初めて実施します。
今回の概算要求に内閣官房の軍事偵察衛星(情報収集衛星)関連経費六百九十九億円を加えると、五兆三百億円(六百三十八億円増)です。