2004年9月4日(土)「しんぶん赤旗」
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群馬・水上温泉で二日から開かれている第三十二回中央社会保障学校は三日、二つの講座と五つの分科会を開き、介護保険、年金制度など幅広いテーマで議論しました。
「社会福祉の再編と社会福祉の保険化―生存権保障の再構築に向けて」と題して講演した伊藤周平さん(鹿児島大学教授)は、一九九〇年代後半から始まった「社会福祉基礎構造改革」について、公費(税)負担方式の措置制度から社会保険方式を基本とした契約制度に転換することを目的としていると指摘。
その内容は、(1)公費負担の軽減(2)応益負担を原則とする利用者負担の強化(3)「負担なければ給付なし」の保険原則の強化―だとして、「社会福祉の保険化」が社会保障を崩壊させ、逆に低所得者の生存権をも侵害する事態を生み出していると批判しました。
横山寿一さん(金沢大学教授)は、社会保障の市場化、営利化の問題点について講演。「(社会保障を)すべての人に開かれた制度から、所得による排除をともなう制度にし、行政が給付の量と質への責任を持たなくさせる」と批判。市場化、営利化のもつ反人権的、反社会保障的性格を確認し、運動を広げることの重要性を強調しました。
分散会・分科会では、社会保障入門のほか、介護保険、医療保障制度、国民健康保険、年金制度について学習と交流を深めました。