2004年9月8日(水)「しんぶん赤旗」
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【ハノイ=北原俊文】十月八、九の両日、ハノイで開かれるアジア欧州会議(ASEM)第五回首脳会議を前に、ASEM人民フォーラムが六日夜、ハノイ市内のホテルで始まりました。同フォーラムは、ASEM参加諸国の非政府組織(NGO)の意見を首脳会議に反映させるためのもので、三十三の分科会で平和と安全保障、経済・社会安全保障、民主化と人民の権利の三つのテーマに基づき討論します。日程は九日まで。
六日夜の開会式で基調発言を行ったフィリピン大学のウォルデン・ベロー教授は、米国や大企業本位のグローバル化(地球規模化)と米国の反テロ戦争を批判、新しい国際秩序を主張して、次のように述べました。
「帝国主義と戦争に反対するたたかいは、われわれのたたかいの一つの戦線だ。もう一つの戦線は、グローバル経済の原理を変えるたたかいだ。この原理とは、米国、欧州連合(EU)、日本を中軸とするグローバル資本主義の論理であり、社会と環境の混乱の根源でもある」
同じく基調発言を行ったベトナムのグエン・ティ・ビン平和発展基金総裁(前国家副主席)は、名指しはしないものの、米国の反テロ戦争を批判し、「侵略戦争とテロ行為が罪もない無数の人々の生命を奪っているなかでは、今日の世界がより安全になったとはけっしていえない」「現に行われている『反テロ戦争』なるものが世界を安全にしたといえるだろうか」と指摘しました。また、「われわれはなお、軍事同盟の強化・拡大、世界と諸地域での軍事費の絶えざる増強、『先制攻撃』ドクトリンの出現を目にしている」「それが平和と安全保障を確保する効果的な方法だろうか」と批判しました。