2004年9月9日(木)「しんぶん赤旗」
ロイター通信によれば、イラクの大量破壊兵器を査察している国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)は八日、イラクが生物・化学兵器運搬用の無人飛行機を開発していた証拠はないとする報告書を、国連安保理に提出することが明らかになりました。
この無人飛行機は、ブッシュ米政権が、イラク攻撃を正当化するため、イラクが大量破壊兵器を開発しているとの具体的証拠の一つとして安保理などで提示していたもの。
今回の報告は、イラク戦争の大義のなさを、いっそう裏づけるものです。
報告は、イラクが一九九九年から二〇〇三年まで「限られた資源と技術的制約の範囲内」で小型の無人飛行機の実験と設計変更を行っていたが、「UNMOVICが入手した情報によると、無人飛行機は防空訓練や情報収集、偵察など通常の軍事目的に使われるものだった」と指摘しています。
報告は、イラクが「無人飛行機を禁止されていた飛距離より長く飛ばしたり、生物・化学兵器を運搬するために開発していたという証拠は見つからなかった」と述べています。
一方、報告は、イラク攻撃後に、ミサイルエンジンなどの廃材十三万トンがイラクから運び出され、ヨルダンとオランダで発見されたことにも言及しています。報告は、「監視対象の品目が組織的に運び出されていた」とし、それは「イラクの軍事力について最新の情報に基づいて正確に調査しなければならないUNMOVICの機能に影響を与えている」と指摘しています。