2004年9月10日(金)「しんぶん赤旗」
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那覇防衛施設局は九日、米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わる名護市辺野古沖への新基地建設に向け、同海域でのボーリング(掘削)調査の着手を強行しました。新基地建設に反対する住民ら五百人は、陸上・海上で抗議行動を行いました。
作業船団は、新基地建設に反対する住民らが座り込みを続ける辺野古漁港をさけ、約五十キロも離れた本島南部・佐敷町の馬天港を出港。午後一時すぎに現場海域に到着し約二時間半とどまりましたが、調査地点にブイを一つ落とすだけで引き返しました。
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この日、施設局が行おうとした作業は、最初にボーリングを実施する地点が、昨年六月に行った潜水調査から変化がないかを調べるもので、その後、磁気探査で不発弾の有無を確認し、本格的なボーリング調査を開始する予定です。
一方、辺野古漁港には午前七時ごろから、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員をはじめ、新基地建設に反対する県内外の住民が駆けつけました。基地の県内移設に反対する県民会議は緊急集会を開き、山内徳信共同代表らが「命はぐくむ辺野古の海で、自然破壊の調査は絶対に許されない」と訴えました。
辺野古から数キロ離れた汀間(ていま)漁港では、住民約五十人が集まり、施設局がマスコミ取材用に借り切った船に施設局職員が乗船するのを止めるよう求めるなどの状況が続きましたが、結局、県民多数が詰め掛けた辺野古漁港に、施設局の職員は一人もあらわれませんでした。
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日本共産党の市田忠義書記局長は九日、沖縄・辺野古沖ボーリング調査の強行について次の談話を発表しました。
一、那覇防衛施設局は本日午後、辺野古沖でのボーリング調査を住民の抗議と反対の声を押し切って強行した。強く抗議するとともに即時中止を求める。
一、護岸工事のための海底調査という理由だが、護岸工事は埋め立て工事の前提となる工事であり、海上ヘリ基地の本体工事に直結するものである。本体工事については、現在、環境アセスメントが進行中であり、その結果もでないうちに本体工事に直結するボーリング調査をおこなうことは到底許されない。
一、もともと辺野古沖への基地建設は、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意による「基地たらいまわし」として進められてきたものだが、こうしたやり方がすでに破たんしていることは、八月に起きた普天間基地の米軍ヘリの沖縄国際大学への墜落事故によって余すところなく明らかになった。いまや世論調査で県民の93%がSACO見直しを求めている。今回のボーリング調査の強行着工は、あくまでSACO合意にしがみつき、県民の犠牲をかえりみない自民・公明政府の姿勢をあからさまに示すものである。
一、日本共産党は、辺野古沖の新基地建設の中止を強く求め、普天間基地の即時使用停止と返還実現のために、沖縄県民と力をあわせて全力をつくすものである。