2004年9月10日(金)「しんぶん赤旗」
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大阪府堺市にある泉北ニュータウン。人口十四万二千人にも及ぶ大きな団地のなかで、「憲法9条守れの“思いで結ぶ”泉北ニュータウン平和ネットワーク」の人たちが頑張っています。
同ネットワークは、「核のない地球を望む」の一点で結集した「核はいらない青い羽の会」と、新日本婦人の会泉北ニュータウン支部が協力し、よびかけ二〇〇三年二月に発足しました。
憲法九条を焦点に改憲の動きが見られるなか、憲法を守ろうという思いをもった人たちが個人、団体を問わず誰でも参加でき、平和につながる行動を自分で考え発信できるような場所になることをネットワークは目指しています。
ネットワークとして行動を始めたのは二〇〇三年二月八日の街頭宣伝からです。宣伝には常時十人以上が参加し、月に一回以上の街頭宣伝を続けています。
中山良夫さん(58)は退職後、平和運動にかかわりたいと考えていたとき、ビラを見てネットワークがあることを知りました。自分の母親は五人きょうだいのうち三人を戦争で亡くしたと聞いてきた中山さんは「このままでは自分の孫が徴兵されるかもしれない」という思いもあり活動に参加。今はネットワークのニュースをつくるなどして活動しています。
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ネットワークでは今年の二月から「憲法のはなし」シリーズの学習会を毎月行っています。
軍隊を持たない国、コスタリカに詳しい弁護士やイラクの子どもの支援活動をする人の現地の報告、戦時中に従軍慰安婦にさせられたフィリピンのロラ(おばあさんの意)の話、憲法と教育基本法についてのかかわりなどテーマは多岐にわたります。
学習会には街頭宣伝で受け取ったビラを持って訪れる人などもいて、毎回六十人ほどが参加。多いときには百五十人が集まりました。「憲法が国家の“見張り番”的役割を担っているなんて聞いて、目からうろこの落ちる思いでした。子どもたちが変な流れにのみ込まれないようにしっかりしなきゃ」(女性)「ロラたちの生の声は衝撃的でした。日本政府に怒りを感じました。良い勉強をしました。これからも素敵な集会を楽しみにしています」(六十一歳の女性)といった感想が寄せられています。
学習会に参加してくれた人たちには感想用紙や次回のネットワークの活動の紹介を郵送し、次につながるような結びつきを大切にしています。現在は百八十人にニュースが届けられています。
ネットワークは憲法を話すきっかけになればとイタリアの平和団体「平和のテーブル」の「EU憲法に、九条の主旨を入れよ」のよびかけなど、各国の団体や個人の言葉、会議での決議を書き込んだカードとあめ玉を同封した「憲法あめ」を一個百円で普及。これまでに集会などの場所で千個以上が広がっています。
ネットワークの中心になって活動している日本共産党の元衆院議員の藤田スミさん(71)は「平和を願っていても自分でどう動いたらいいのかわからないという人たちにネットワークを知らせ、積極的に運動できるようにしていきたい」と語ります。