2004年9月11日(土)「しんぶん赤旗」
国民サービス切捨てに 市田書記局長が談話
小泉内閣は十日午後の臨時閣議で、二〇〇七年四月に日本郵政公社を民営化する基本方針を決定しました。民営化に伴い、純粋持ち株会社の下、郵便局の窓口機能を継承する窓口ネットワーク(網)、郵便、郵便貯金、郵便保険(現・簡易保険)の四事業会社に分社化する方針です。これにより、百三十年ほど前に国営事業として発足し、国民共有の財産として親しまれてきた郵便局網・サービスは、解体・縮小の危機に直面することになります。
閣議に先立ち、閣僚、財界首脳らで構成する経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)が開かれ、基本方針を了承しました。小泉首相は閣議後、「(関連法案を)来年の通常国会に提出して成立を図りたい」と述べました。政府は、近日中に首相を本部長とする「郵政民営化推進本部」を設置します。
基本方針によると、民間企業との競争条件を同一にするとの名目で、郵政公社に与えられていた納税義務の免除、郵貯・簡保への政府保証などを撤廃。移行期間を通じて政府の関与や制限を緩和し、一七年三月末までに完全民営化します。
郵便貯金、郵便保険の二社については、一七年までに株式を順次売却して持ち株会社から離れ、民有・民営とします。それまでは、郵貯・簡保の限度額(一千万円)は据え置く方針です。
また、「過疎地の拠点維持に配慮」といいながら、郵便局の配置の見直しに言及。方針どおりに実施されれば、郵便局網の縮小は避けられない情勢です。
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小泉内閣が十日の閣議で郵政民営化基本方針を決定したことを受け、日本共産党の市田忠義書記局長は同日、次の談話を発表しました。
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本日、小泉内閣は、二〇〇七年に郵政公社を民営化する基本方針を決定した。しかし、何のための民営化なのか、国民・利用者へのサービスはどうなるのか、という最も基本的な問題はあいまいにされたままである。それは、この民営化が、自分たちの商売の邪魔になる郵貯・簡保は縮小・廃止せよという、銀行、生保業界の長年の要求に応えるためのものであり、国民にとっては、地元の郵便局の統廃合をはじめ、サービスの切り捨てしかもたらさないものだからである。
しかも、特定郵便局長を不当に選挙に動員するなど、郵政事業を私物化し、ゆがめてきた自民党と郵政族議員の利権・既得権益には、まともなメスも入らず、温存されようとしている。こんな郵政民営化が「改革」の名にあたいしないことは言うまでもない。
日本共産党は、こうした郵政民営化に断固反対するとともに、郵政事業を真に国民に開かれ、国民・利用者へのサービスに徹する事業として改革していくために全力をあげる。