日本共産党

2004年9月12日(日)「しんぶん赤旗」

防衛力整備改革案

いつでも派兵可能に


 防衛庁が「防衛力の在り方検討会議」(議長・石破茂長官)を十日に開き、まとめた今後の防衛政策の方向性などに関する改革案は、新しい「防衛計画の大綱」に反映させることを狙ったものです。政府・防衛庁は、自衛隊を海外派兵型に転換するため、新大綱の策定作業を年内を期限に進めています。

 「防衛計画の大綱」は、自衛隊の整備・維持・運用に関する基本的指針を示したものです。米ソ対決期の一九七六年に初めて策定し、ソ連崩壊を受け、九五年に現行の大綱に改定。今回の策定は、ブッシュ米政権が先制攻撃戦略を公然と打ち出したなかでの改定になります。

 政府全体の方針となることから、政府は昨年十二月、年内中の新大綱策定を正式に閣議決定。今年四月には、新大綱に反映させることを目的に、首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」を設けました。同懇談会は、これまで九回の会合を開き、今月十五、十七日に会合を開き、月内に報告書をまとめる計画です。

 防衛庁は、これより先の二〇〇一年九月に「防衛力の在り方検討会議」を発足させ、新大綱の策定作業を進めていました。懇談会の報告書と検討会議をふまえ、最終的な大綱案をとりまとめる考えです。

 政府と防衛庁の各検討作業は、自衛隊を海外派兵型に転換するという点では、同じ方向にあります。

 防衛庁がまとめた改革案の目玉である海外派兵の「本来任務」化も、同懇談会で、繰り返し取り上げられたものです。

 これまで海外派兵は付随的任務に位置付けられていました。そのため、自衛隊の建前である日本防衛などの本来任務に「支障を生じない限度において」(自衛隊法)のみ可能でした。本来任務に格上げすれば、米国の要求にこたえ、いつでも派兵できる体制を整えなければならないことになります。

 改革案が、海外派兵能力の向上をはかるための「国際活動教育隊」の新設や、戦闘機の海外遠征能力を高める空中給油機の八機体制などを打ち出したのも、「本来任務」化をにらみ、海外派兵に軸足を置いた自衛隊への転換を推進するためのものです。田中一郎記者



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