2004年9月15日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 住民運動をされている方から、国会に「共謀罪」というものが提出されている、どんな中身か不安だ、という声を聞きました。どんな法案なのですか?(福岡・一読者)
〈答え〉 「共謀罪」は、昨年の通常国会に提出された刑法一部改正案にうたわれ、継続審議となっています。
麻薬密売や人身売買の取り締まり強化、テロ防止を目的とする国際的組織犯罪防止条約をうけて提案されました。国境を越える組織犯罪集団による、そうした犯罪に対し、国際的な協力体制を作って対処しなければならないことは確かですが、法案の「共謀罪」は、国際的犯罪に限定されておらず、死刑または無期懲役か四年以上の懲役、禁固の刑が定められている犯罪行為(五百五十七もある)を、共謀しただけで犯罪とし、最高で懲役五年の刑が科されるというものです。
国家が刑罰権を発動しうるのは、犯罪行為が実際あった場合にかぎられ(この場合にはもちろん共謀者も処罰されます)、その犯罪そのものがおこなわれなければ、罰せられないというのが刑法の原則です。
実行行為の伴わない共謀だけの場合は、実害を発生しておらず表に出ないことがほとんどです。そうするとどうしても団体の組織犯罪を実行する前の「共謀」を捜すために、スパイを送り込んだり、警察があやしいと特定した人物の使用する通信手段や会話の盗聴を合法化しようとするなど、警察がねらいをつけた団体を弾圧するために乱用される危険が強くなります。
つまり、思想・信条の自由、結社の自由という憲法の基本的人権をおびやかすものとなり、とうてい認められません。
このように、「共謀罪」は、犯罪行為を実行、着手しなくても、二人以上の人間が相談し合意したことを処罰の対象にするという、時代逆行もはなはだしいものです。
「共謀罪」ができると、やがて生活のすみずみに監視の目がゆきわたるような警察国家になりかねません。(岡)
〔2004・9・15(水)〕