2004年9月15日(水)「しんぶん赤旗」
休日に職務とまったく関係のない場所で「しんぶん赤旗」号外などを配布した社会保険庁職員の堀越明男さんが、国家公務員法違反(政治活動の制限)に問われている事件の第二回公判が十四日、東京地裁(中谷雄二郎裁判長)で開かれ、弁護側は初公判に続き、憲法や国際人権規約の立場から起訴状を批判、公訴棄却を求めました。
この事件は、警視庁公安部が違法な尾行、張り込みなどの情報収集活動をおこない、これにもとづいて選挙から四カ月後の三月、堀越さんを不当逮捕、東京地検が起訴したもの。
この日の弁論で弁護側は、新たに開示された捜査報告書に言及。警視庁公安部の捜査が、多い時は十一人の態勢で連日、堀越さんを尾行、事件とは無関係のプライベートな行動も記録するなど、当初、公選法の文書違反事件の捜査として始まったものとしてはきわめて異常で不合理であると指摘。公選法違反事件の捜査から“たまたま”国家公務員法違反であることが判明した――などとする捜査報告書がでっちあげである可能性が強い、と厳しく批判しました。
さらに、弁護側は、国家公務員の政治的行為を広範に禁止している、国家公務員法(一〇二条一項)や人事院規則が、言論、表現の自由を保障した憲法二一条に違反し、無効と主張。同法の合憲性を認めた猿払事件の最高裁判決についても、アメリカ占領軍に押しつけられた同法の立法過程や長期間にわたって同法を適用できなかったことに触れ、「根本的に見直されるべきだ」とのべました。また、今回の起訴は国際人権法である自由権規約などに抵触するとして公訴棄却を主張しました。