2004年9月16日(木)「しんぶん赤旗」
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沖縄国際大学(沖縄県宜野湾市)への米軍ヘリ墜落事故で米軍が現場周辺を封鎖・占拠した行為が、米軍や地元自治体など関係機関で合意した航空機事故の「緊急措置要領」にも反していたことが分かりました。
同要領は、米軍機事故の「現場保存」は沖縄県警が行うことや詳細な通報体制を定めていますが、米軍は一切無視していました。
要領は沖縄の米軍を含め県、市町村、消防、警察など六十四の関係機関でつくる「米軍及び自衛隊の航空機事故連絡協議会」が一九八二年に制定。米軍機事故が発生した場合の任務分担として、沖縄県警と海上保安本部を「財産保護又は警備」「現場保存」「搭乗員、乗客、被害者等の捜索」を行う「主務機関」と定めています。
米軍の対応は、救出や消火などで「情況に応じその能力の範囲内でこれら緊急活動に参加する」という在日米軍司令部と防衛施設庁の合意(八〇年)に基づくとしているだけです。米軍が日本の警察も締め出し、現場を封鎖・占拠するようなことは想定されていません。
駐留米軍の地位を定めた日米地位協定は、米軍の基地外での警察権を基本的に認めていません。日本政府は、米軍機の墜落事故で事前に承認を受けるいとまのないときには公有地や私有地に立ち入ることが許されるとした日米合意を持ち出し、米軍を擁護しています。しかし、これも救助と財産保護の目的に限って立ち入りを認めただけで、警察権を与えたものではありません。
要領はこうした枠組みの下で制定されたもの。これを無視した米軍の行為は、地位協定からも許されないものだったことを改めて示しています。
要領はまた、事故機の積載燃料の種類や量、爆発物や危険物搭載の有無などを関係機関に通報することを定めています。しかし、県などにこうした通報は一切ありません。